俺は3年前のあの日からの出来事を話さなければいけない。
一人の女の子の話だ。
結論から言うとこの女の子は今はもういない。
これだけ聞くと死んでしまったと思う人もいると思うが違う。
事故死でもなければ自殺でもない、ましてや殺されてもいないのだ。
じゃあなぜ?
その答えは至ってシンプルだ。
「最初から存在していなかった」
いや、正しくは存在していないことにされたのである。
だから俺は話さなければならない。
彼女が存在したことの証明を、なぜこんなことになったかを。
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3年前の春。俺は学生という職業を卒業した後、地元の小さな本屋で働いていた
俺と店長、そしてもう一人。
柊 花菜というバイトの女の子だ
柊はまだ学生で、しかも俺が通っていた学校の生徒だというのだ。
つまりは俺の後輩らしい
背格好もスラッとしていて、セミロングの茶髪な髪に整った顔立ち。なかなかの容姿だ
しかし彼女には1つ欠点があった。
オカルト大好き心霊マニアということだ
先週も心霊スポットに誘われて
「せんぱい!心霊スポットあるんですけどいきましょー!」
とか言われたばかりだ
俺はそーゆー類いの物は信じてないし、意外と怖がりだから心霊スポットとかには近づかないようにしている。
横目に柊を見ながらそんなことを考えていると
彼女が急に俺の方を向いたせいで目があってしまった。
やばい………
俺の本能が危険を察知した
柊の方を見てみると目をキラキラさせながら
こっちをみている
嫌な予感しかしない………
「せんぱい!なんで私のこと見てるんですか?ストーカーですか?警察呼びますよ?嫌なら今日心霊スポットに連れてってください!!!」
いや。おかしいだろ。
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俺はとある山道で車を走らせていた。
助手席には柊が乗っている。
結局、弁解しようとしたが本当に警察を呼ぼうとしたので
仕方なく連れてきてしまったのだ。
「いや~先輩も案外チョロいですね♪」
と隣で嬉しそうに俺に話しかけてくる
この小娘が……
俺の怒りが伝わったのか、柊は別の話題をふってきた
「そーいえば今から行く神社って、入るところに3つの鳥居があるんですけど
その3つ目の鳥居をくぐった人は呪われるらしいんですよ!」
俺もその話は聞いたことがある。
他にも中に入って帰り際鳥居の上を見ると頭のない子供が手を振っていたり
神社の周りを歩いてると周りから幾つもの足音が聞こえてきたりなど色々な噂がある。
そんな話をしているうちに、○○神社と書いている看板が見えた。
看板の左には車が一台通れるほどの小さな道があり
そこを通ると目的の神社へと繋がる鳥居が目の前に現れるらしい。
帰りたい気持ちで頭がいっぱいだったが、ここで帰ると柊に警察に通報されてしまうので
仕方なく車を前に進めた。
小道を通過している途中左側に2か所地蔵さんがいたが気にせず目的地へ向かった
少し進んだ所にそれはあった。
真っ暗闇の中にうっすらと浮かび上がる真っ赤な鳥居。
どうやらこれが一本目の鳥居らしい。
柊はテンションが上がり、カメラ片手に車から降りシャッターを切っていた。
俺もエンジンを止め、車から降りようとした
だが俺は降りることができなかった
聞こえてしまったからだ
カメラのシャッター音に紛れて
女性の甲高い声で
「ぎゃははははははははははは」
という声が
全身に鳥肌が立つ
だから来たくなかったんだ
柊は気づいてないらしく先へ行こうと歩き出そうとしていた
「柊っ!一旦車にもどれっ!」
俺の様子がおかしいことに気づいたのか
なにも言わずに戻ってきてくれた
「先輩どうしました?」
俺は先ほど聞こえた笑い声のことを話した
しかしそれが間違いだった
柊を連れ戻した後すぐに車を走らせておくべきだった
俺が声のことを説明している途中、柊はある一点を見つめて震え始めた
「おい、どうした!?」
「………先輩、鳥居見てください」
柊に言われた通り鳥居をみた瞬間俺は背筋が凍った
鳥居の下に女が立っている
しかしただの女じゃない
異常にでかいのだ
頭は鳥居の上を越えていて顔まで見ることはできなかった
急いで俺はエンジンをかけ、アクセルを思い切り踏み急発進させた。
「先輩なんですかあれ!」
柊は今にも泣きそうな声だ
「俺にもわかんねーよ!とりあえず今は逃げることが先だ!」
狭い小道もアクセル全開で走り、やっと山道へと出ることができた
バックミラーを見てもアレは追ってきていない
よかった。助かったか……
「ぎゃははははぁ……あ"あ"あぁぁあぁぁ」
また鳥肌がたった
横を見ると柊は気を失いかけていた
アレは逃げてきた時からずっと
車と並走していたらしい
ありえない…今何キロ出してると思ってんだよ!?
これ以上だせば車が壊れるのではないか。というスピードで走った
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どれくらい走っただろうか、いつのまにかアレは消えていた。
柊は気を取り戻したらしく
「もう大丈夫ですよね………?」
とおれに問いかけてきた
しかし俺は答えることができなかった
コンビニが見えたのでひとまずそこで落ち着くことにした
飲み物を買い、喉をうるおした後
柊には今日は家に帰らないで俺の家に来ることを勧めた
柊は一人暮らしだからこの後に一人にさせるのはあまりにもかわいそうだからだ
そして俺にはもう2つ不安があった
1つは、どーやら俺は視える人間になってしまったこと
先ほどから、ちらほらと見えてしまうのだ
そしてもう1つは
柊に、柊にだけ3という数字が見えていることだ
作者ウェルダン
こんにちわ。初の投稿なので優しい目で見てあげてください笑
続きの章も出していきたいと思います!