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短編2
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ついてきたもの

わたしは、深夜の道を歩いている。

虫の声も木々のざわめきも聞こえない、住宅街の道を、わたしが住む築ウン十年のボロアパートに向かって。

しばらくは早く家に帰って寝ることだけを考えて歩いていたのだが、ふと異変に気づく。

なにか、わたしをつけてきている。

ハイヒールのコツコツという音とは別の足音がある。

試しに近くにあった自販機で飲み物を買う。

・・・

足音が止まる。

また歩きだす。

足音がなりはじめる。

ほぼ確定。ストーカーだ。

どうしようか。

こちらはハイヒールを履いているし、逃げてもすぐに捕まってしまうかもしれない。

少し考えて、ルートを変えて近くの友人宅に行くことにする。

事情を話せば一晩くらい泊めてくれるだろう。メールで連絡しておこう。

携帯を取り出す。

一瞬、警察に連絡するのではと勘ぐられて襲いかかってくるのではと思ったが、メールを打っているだけなのを確認したのか、そんなことはなかった。

メールを送信して、そう経たないうちに返信が来る。了承の旨を伝えるメールだ。

そのまま歩き続ける。

友人宅が見えてきた。ある程度近づいたところで、小走りで友人宅の家に向かった。

もう一つの足音も早くなる。

が、どんなに早く走ったところでわたしが友人宅に入るほうが早い位置に来ていた。

既に鍵を開けて待っていてくれたようで、すぐに家の中に入れた。

それから友人と無難な会話をしたあと、風呂を貸してもらい、布団も貸してもらってさあ寝ようか、という時に、ふと窓の外を見た。

・・・?

なにかが、友人宅の玄関あたりをウロウロしている。

人の形をしている。

が、異様に背が高く、手足も長い。

深夜の、それも窓越しにも確認できるほど真っ白な肌をしている。

まるで死人のような。

くるっ、と首が回って、そのなにかがこちらを見た。

咄嗟に布団の中に潜り込む。

得体のしれない恐怖を感じ、体がガタガタ震えていた。

そのまま布団の中にいたら、いつの間にか眠ってしまっていたようで、布団からはいでると朝になっていた。

恐る恐る外を見たが、昨日見たものはもういなかった。

その日、友人宅からそのまま出勤し、家に帰るのはタクシーにした。

そしてテレビをつけてみると、ニュースで殺人事件が起こったと報じていた。

なんと、その被害者は昨日、わたしが泊めてもらった友人であった。

奇妙な死に方をしていて、頭の上半分がものすごい力で握りつぶされたかのようであったという。

わたしの方も葬儀などで多少ゴタついた。

それから少しして考えたのだが、多分、わたしをつけてきていたのは、わたしが友人宅の窓から見たあのなにか何じゃないだろうか。

そして、それの目的はもともと私で、しかしあの日に襲いかかるつもりはなく、わたしをつけてわたしの住居を確認するのが目的だった。

のだと思う。

・・・とにかく、しばらくはタクシー帰りになりそうだ。

Concrete
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