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短編2
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深夜の漫画喫茶

深夜の漫画喫茶

聞いてくれ

その日は金曜日だった。

俺はお酒に弱く、飲めないから飲み会はあまり行かない。

よく断っていたので次第に誘われなくなっていたが、退社前に久しぶりに声を掛けられた。

嬉しい反面、断り続けた罪悪感と明日が休みだという安心感もあり、付き合う事にした。

お酒を飲まなければ無問題なのだが、やはり進められると飲まない訳には行かず…

回った酔いのせいで、時間の管理を怠り

見事に終電を逃してしまった。

自宅には歩いて帰れる距離ではないので、渋々漫画喫茶を探した。

「始発まで時間潰すしかない。」

夜風に当たってか、酔いも覚め身体が仕事の疲れを思い出し足取りが重くなっていった。

漫画喫茶の看板を見つけ、料金表を流し見てからそそくさとビルの階段を上がった。

入店してみると

看板が古かったので、やや予想はしていたが

タバコのヤニで店内の壁は薄汚い黄色。

店奥にある本棚に陳列された本も、日焼けしているのかヤニで汚いのかわからないぐらい汚かった。

レジカウンターの店員も、小汚い不衛生な印象を受けた。店員の名前札も曲がっている。

悪い印象を受けた。

「いらっしゃいませ、当店のカードはお持ちでしょうか?」

それから、新規会員の手続き。

身分証の提示。

空いていたリクライニングシートの部屋にチェックインをし、適当な雑誌とドリンクバーのお茶を持ってシートに横になった。

個室と言っても、仕切り一つで分けられたようなもので、別客の生活音は普通に聞こえるし、個室の天井は筒抜けなので立つと周りが見渡せる。

時刻は午前3時

客のいびきや歯ぎしりの音が耳に付いて寝つけない。

タバコを吸おうとしたが

灰皿がない事に気付き、取りに行く。

自分の個室に戻ろうとした時

ふと何かに気づいた

参列ほど先の部屋から顔だけを出している人がいる。

少し驚き、目を凝らしてみたら

髪はなく、まるでマネキンみたいに無表情だった。

「あれ、こっち見てる?」

瞬間少しゾッとした。

何故顔だけ出してるんだ?動く気配もないし、何を見てるんだ?

慌てて遠回りして個室に戻るが、

入る前にもう一度あの顔を確認したら…

俺を見ている。

間違いなく、俺を凝視していた。

「わ」

思わず小さな悲鳴が出た。

その姿があまりに不気味で、リクライニングシートについていたひざ掛けを被り 無理に寝る事にした。

少し落ち着いてそのまま寝落ちたわけだが…

バイブレーションの音で目が覚め、チェックアウト前の一服をする。

かちりと火をつけ、吐いた煙が天井に向かって登るのを目で追っていたら

仕切りの上からあの顔が覗いてたんだ。

Concrete
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