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短編2
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アノコノ鈴

―イナイ……オモイダセナイ…アノコノコトガ…

騒がしい足音を立てながら小学生が私の横を通り過ぎていった。ランドセルについている鈴がチリンとなった。

「ランドセル…」何だろう…脳裏にいくつかの情景がよみがえる…―――

クライクライ フカイモリ……カゼニナビククロイカミ……そしてヒトケノナイ川原… チリン…

はっ…とした。 アノコは誰…?…いやだ…いやだいやだ…オモイダセナイ…オモイダシタクナイ!!

触れてはいけない記憶に、触れてしまった瞬間…私の足は、あの川原へ向かっていた…。

……あの日…私たちはあの川原で遊んでいた。

チリン…

……アノコのランドセルに着いている鈴が川に落ちた。

チリン…

……アノコは鈴を拾おうとして足を滑らせた。

…チリン

…そして……

「清子っ!」……私はとうとうあの川原に着いてしまった………―思い出した……。アノコは、いや…清子は、大切な鈴を取ろうとして川で溺れてしまったんだ!!……そして私は彼女を見殺しにした。私はその記憶を消そうとした。…

私は悪くないと。 …鈴の音が聞こえる…。

…チリン

何かが流れてきた…。「…ランドセル?」

ランドセルに、黒い髪の毛が絡まり着いている…。

「恵美…」

背後から聞こえたその声は遠い昔に消えたモノの声…

「ヨクモミゴロシニシタナ……シンユウダトオモッタノニ…ヒトゴロシ…」

「きゃあぁあぁああっ――――!!」

………チリン

怖い話投稿:ホラーテラー noa+。さん  

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