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短編2
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マリーの奇跡

小さい時に本か何かで知った話です。

ある裕福な家庭に、ミミという女の子がいました。

ミミは生まれつき目が不自由で、手術しても治る可能性はきわめて低いだろうと言われていました。

しかし幼いミミは、いつか必ず自分の目は治って、太陽の光や、色鮮やかな花々を見る事が出来ると、信じて疑いませんでした。

ミミの誕生日。お父さんとお母さんは、ミミに可愛らしい西洋人形をプレゼントしました。

その西洋人形は、綺麗な金髪で、空のように青い瞳をしていました。

ミミは人形を貰って最初はとても喜んでいましたが、人形の閉じたり開いたりする瞳に触れた瞬間、

「…どうして!?どうして私の目はずっと閉じたままなの!どうしてこのお人形のように開かないの!」

と、人形を床に投げつけてしまいました。

両親は泣きわめくミミをどうする事も出来ず、暫く部屋に一人にしてあげました。

ミミは両親が部屋からいなくなると、手探りで人形を捜し、そしてぎゅっと抱きしめました。

「ごめんね、ごめんね、痛かったでしょ、ごめんね」

ミミは人形の頭を撫でながら、何度も謝りました。

ミミは人形をマリーと名付けて、それはそれは大切にしました。

そしてマリーにいつも話かけるのです。

「マリー、私の代わりにあなたが見てちょうだい。青い空や、赤や黄色のお花さん達を。…もし私の目が治ったら一緒に見ようね、約束よ」

ある日、ミミにとっても良い話が来ました。

ミミの目を治せるかもしれないというお医者さんが現れたのです。

ミミや両親はとても喜んで、目の手術を受ける事にしました。

ところが、残念ながら手術をしてもミミの目は治りませんでした…。

ミミや両親は絶望して、涙がかれるほど泣きました。

ミミはその夜、マリーを抱いてベッドに入りました。そしてマリーに自分の今の悲しみを全てぶつけたのです。

ミミが眠りについた頃、マリーは独りでに、そっとその青い瞳を閉じました。永遠に……。

翌朝、ミミは両親のいるリビングへとやって来ました。

「おはよう…。太陽の光がすごく眩しいわ…。」

両親はミミの言葉に驚きました。ミミは目が見えるようになっていたのです。

しかもミミの瞳は空のように青い色をしていました。それは間違いなくマリーの瞳でした。

「マリー、あなたが私に瞳をくれたのね。ありがとう、本当にありがとう」

ミミは永遠に閉じてしまったマリーの瞳を見つめながら、何度も何度もお礼を言いました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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