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短編2
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電車内

電車の中、

優先席には私含め所謂

【若者】が五人、

向かいの席に二人、

こっち側に三人だが、

二つで十人くらいしか座れないイスには

さらに妊婦一人、

老人三人が座って居て、

もう席に他の人間が座る面積はなかった。

九人しか居ない?

いや、一番出口に近い席にはもう一人、

【人では無いもの】が座って居る。

俯き黒い髪を垂らす白いワンピースの女。

ブツブツと何かを呟いて居るそいつは、

一見危ない人だが血塗れの服に

逆に曲がった腕が、

明らかに化け物だと告げて居る。

しかしこの無関心な現代社会。

気付いて居るのか居ないのか、

はたまた無視なのか誰も女の方を見ようとはしない。

私含め。

プシュー、

扉が開く音。

たくさんの人が車内に乗り込んで来る。

「おばあちゃん疲れたよ~…」

「うーん…座るところは無さそうだね…」

その時だ、

明らかに優先席に優先され座るべき住人、

60代の老婆と、

3才の孫と言う最強コンボが車内に乗り込んで来た。

キョロキョロとする祖母は心なし優先席を見る。

優先席では私含め幽霊以外全員、

「お前が降りろ」

的な視線をチラチラ送り合い、

小さなプレッシャー攻撃祭りと化していた。

そして永遠とも思えたその時間、

椅子から立ったのは…

「どうぞ」

一人の老人。

若者は立たない。

さぁ、これで開ける席は後一つ、

しかし誰も立たない。

「…………」

また誰もが目を伏せた時だった。

スクリ、

「アイツ」が立ち上がった。

そのままアイツは寂しそうにこちらを睨むと、

フワリ、と消えた。

老婆はそのまま孫の手を引き椅子にイン。

孫だけが不思議そうにして居た。

幽霊に席を立たせる電車内が

私は一番怖かった

怖い話投稿:ホラーテラー とちおとめさん  

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