ずしり、
深夜二時、
腹に誰かが乗って居る。
しかも金縛り、
ギリギリ開く目で腹に乗るモノの正体を確かめると、
ざんばら髪に汚い着物のばぁさんが乗って居た。
ばぁさんは
『う~…う~…』
と呻きながら俺の首を締める。
咄嗟に俺は、
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…
と何度も呟いた。
するとだ。
「この愚かもん!」
突然ばぁさん、
俺の頬を殴る。
『なんまんだぶつはなぁ、
それ唱えて極楽に行くもんや、
それで幽霊消えんぞナメんな!!』
そして怒鳴りつけられた。
その後もひとしきり鬱憤が堪って居たのか
最近の若者はどうだの、
無関心な奴が多いから憑き辛いだの、
もうちょい墓場にお供えしろだの
ものすごい説教をされ、
「まぁアンタはこんなババァの言う事聞いとるし
まだ捨てたもんや無いなぁ」
と言い、
朝になるとすっきりした顔で消えていった。
俺は久し振りに親に電話を掛けた
朝だった。
怖い話投稿:ホラーテラー とちおとめさん
作者怖話