私が大学1年生の頃、一人暮らしをしていたマンションでの出来事です。
そのマンションは古い建物でしたが立地条件もよく、間取りの割に安い物件だったので喜んで入居したのですが、高層ビルに囲まれていたため日当たりは最悪でした。
おかげで頻繁に金縛りにあっては、不可解な物音を聞いたり、見えるはずのないものを見てしまうという日々を送っていました。
実害といえるようなこともなかったので、大して気にすることもなくすごしていたのですが、ある夜、引っ越しを決心した出来事がおこりました。
ど田舎育ちの私は鍵を閉める習慣がなく、その日の夜も玄関の鍵を閉めずに寝ていたのですが、その日だけは鍵を閉めていない玄関が無性に気にかかり夜中に目を覚ましたのです。
鍵を閉めようと体を起こそうとしたのですが、思った通りの金縛り。
「何か来る!鍵閉めないとヤバい!」
その一念だけであらん限りの力を振り絞り、金縛りから脱出し鍵を閉めました。
するとその直後
「がちゃがちゃがちゃ」
ドアノブが激しく音をたてはじめたのです。
ドアののぞき穴を覗いても外には誰もいません。
のぞき穴を覗いている間にもドアノブはけたたましく音をたてていました。
音をたてていたドアノブも、しばらくすると徐々に静かになりましたが、鍵をかけるのが少しでも遅れていたらと思うと今でもゾッとします。
このマンションでは夜中に目を覚ましたら大勢の人に取り囲まれて見下ろされていたという体験もありましたが、この時ほど背筋が凍った出来事はありませんでした。
施錠されていない部屋には、幽霊と呼ばれる存在のものも入って来やすいのだという話を後になって耳にしました。
9割以上の方は大丈夫だとは思いますが、夜寝る前にはもう一度玄関の施錠の確認を…
作者まめ太
私が入居していたこのマンションは本当に日当たりが最悪で、真夏でもベランダに30分ほど日差しが当たるだけの物件でした。
梅雨時には湿気で襖がふやけてフニャフニャになるほど。
当時、恩師に強烈な霊感を持つ方がいて、一度部屋を見てもらったのですが
「あんたよくこんな部屋に住んでて体調崩さないわね」
と苦笑いされました。