短編1
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隣にいたのは?

 僕の部屋は壁が薄いためか、となり主の声がよく聞こえてきていた。

「ねえ、まだ行かないの?」

「行かないさ、だって君のことが好きだからさ」

 リア充めとぼくは嫉妬しながら黙って湯呑を飲んでいました。

 次の日、再び聞こえてきました。

「ねえ、となりのヒト、生きているのかな? 昼間ぜんぜん合わないのよね」

「そうだね、もしかしてとなりの人は幽霊なのかな?」

 なんでそんな話になるのやら。

 ぼくは夜勤なのさ。

 夜勤なんだから昼間に外に出るなんてあまりないことだ。

 別の日、再び聞こえてきた。

「今日、変な人を見かけたんだ」

「変な人?」

「そう、無愛想でこわばった目つきで私を睨んでいたのよ」

「うわーたしかに変な人だね」

「でしょ。私は通報してやったわ」

 なんだかとても最悪なことをしでかしたような会話だった。

 不気味とか変とかで通報とか、ありえない話でしょう。

 さらに別の日、ちょうど休暇がもらえたので、昼間買出しに出かけると、ちょうどとなりの人と出会った。

「こんにちは」

「こんにちは」

 元気そうなおばさんだった。

 翌日、その元気なおばさんは顔を真っ青にして引っ越していった。

 何に青ざめたのかわからなかったが、その答えは直ぐにわかった。

Concrete
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