数年前の話。
正月、同居人と初詣に行った。
時刻は午後11時。
防寒対策をし、近所の神社へ。
鳥居の前に、猫と戯れている人を発見。
「猫かわいいね」なんてこと言いながら、
その人の前を通り過ぎる。
あれ?
心臓が止まりそうになる。
でも気づかないふりで賽銭箱の前まで歩く。
「今の人、顔見た?」
「なんか、見れなかったよね」
「うん。見れなかった」
二人、しばし沈黙。
猫と戯れている人の顔を覗きこんだとき、
その人に肌がなかった。
顔があるべきところが真っ暗。
うまく言えないけど、顔の正面が後頭部みたいな。
猫を膝に載せてたから、あれが後ろ姿だってことはありえない。
じゃあ顔はどうなってたんだろう。
なんであんなに真っ暗だったんだろう。
怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん
作者怖話