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短編2
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黒夢

最近、とても嫌な気配がするようになった。

基本的に、夜に嫌な気配は多く感じる。

背中を冷たい死人の手で撫でられたような、ぞわりとする、悪寒のような気配。

今日も一日をいつも通りに過し、眠りについた。とてもジメジメとしたイヤな夏の夜だった。

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部屋の障子をぼんやりと見つめながら、暑苦しさで顔を歪めていた。

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と、その時。

体が動かない。

痛みもなく、何かに押さえられているわけでもない。

異常な状態ではあるが、その脳は酷く冷静に状況を判断していた。

しばらくなんとか動こうとしていると、首は僅かに動かせるようになっていた。

視線も動かせる。

首をギリギリまで傾け、目を動かす。

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黒いモヤのような物が宙に浮かんでいた。球体のそれは、ふわふわと浮かんでいた。目の錯覚か何かだろうかと、それを凝視していると――ふと、モヤの中に手が見えた。

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と、そこで不意打ちに睡魔が襲い、瞼が落ち、そのまま眠ってしまった。

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朝起きて、私は家のすぐ近くにあるコンビニにやって来ていた。

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空は灰色に覆われ、天からは雨が降り注いでいた。

朝からこうだと気分が悪い。できれば回復してほしいなと思いながら、適当なお菓子やらジュースを選んでいた。

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ふと、入り口の自動ドアに目が行った。

――!?

…昨日の黒いモヤが、扉越しに浮かんでいた。一人客が入ってくるが、モヤには目もくれない。おそらく、自分にしか見えないのだろう。

モヤから黒い瞳が見える。その目と目があった瞬間、背中をゾワッと何かが通り過ぎるような悪寒を襲った。

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目を背け、しばらくしてまたチラリと見ると、モヤは消えていた。

…できればもう二度と見たくないものだ。

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不安に押しつぶされそうになりながら、私は今日も眠る。

傍に佇む黒い何かと共に。

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