2度目の投稿になります。
た◯ちゃんと申します。
相変わらず稚拙な文で読みにくいかもしれませんが、お時間のある方はお付き合い頂けると嬉しいです。
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これは、僕の小学生時代に同級生の愛莉と拓馬とキャンプへ行った時に、愛莉が経験した話です。
愛莉と拓馬とは親同士も仲が良く、小学生時代ではだれと遊んでもこのメンバーはいる。といった仲の良い関係でした。
小学4年生の時の話ですので、もう10年以上も前の話です。
夏休みに入り、愛莉の家で拓馬と一緒に自由研究のテーマを決める為に集まっていました。
とは言うものの、まだ10歳になったばかりの僕たちが、すんなりテーマが決めれるはずもなく、ゲームをしたり漫画を読んだりと、中々身の入らない時間を過ごしていた時のことです。
愛莉の部屋のドアがノックされました。
その音にびっくりした僕たちは、急いで自由研究を進めている風を装いましたが、当然隠し通せるわけもなく、遊んでいたことがばれます。
愛莉母「あんた達、自由研究やりなさいよ。まあ、仲が良いのはいいことだけどね!はは」
こうして軽い感じで笑って許されるのもまた10代の特権でしょうか。笑
愛莉母「今度、家族でキャンプに行くんだけど、僕くんと拓馬くんも良かったら来る?」
有難いことに僕たちはキャンプへお呼ばれして頂くことになりました。
僕たちは急いで家に帰ると、各自親にキャンプへ誘われた旨を伝え、迷惑にならないようにと、晴れてキャンプへ参加することが決まりました。
楽しみで仕方ない僕たちは、キャンプの日までの1週間毎日の様に集まり、キャンプの話などで盛り上がりました。
当然夏休みの宿題もやりましたよ…笑
そんなある日、拓馬が言いました。
拓馬「自由研究のテーマ、水辺にいる生き物とかどうかな?」
特別いい案も浮かんでいない僕たちは即決でそのテーマに決めました。
夏にしては珍しく湿気の少ない快晴を迎えた僕たちは、愛莉の家の車で1つ隣の県にあるキャンプ場へと向かいました。
1泊2日のキャンプでしたので、まだ子供の僕たちは荷物が多いはずもないのですが、目覚まし時計など確実にいらない荷物が多々あったのを覚えています。
キャンプ場へ着くと、
愛莉父「ここでテントを張ってるから愛莉達はあまり遠くへ行かないように遊んでな!ただ、森の中にある池には近づいちゃ行けないよ!」
と注意を促されました。
その言葉に自由研究のテーマを
水辺の生き物
にしていた僕たちは、多少がっかりはしましたが、近くに川もあった為、そちらに向かうことにしました。
川へ向かうと、他の子供たちも多く、浅い川で石を集めたり、水をかけあったりして遊んでいます。
知らない子でもすぐに仲良くなれてしまうのが小学生です。
僕たちも例外ではありません。
自由研究のことなどすっかり忘れ、僕たちの地元では見たことのないような魚を追いかけ回したりと、夢中になって遊んでいました。
そんな時、名前は忘れてしまったのでAとします。
仲良くなったAが言いました。
A「こっちの池の方に凄く大きい珍しい色した魚おったよ!」
愛莉父に池へ行ってはいけないと言われたことを思い出し断ると、Aは1人で森の方へと走って行きます。
その後、また同じ様に川で遊んでいると、1人で森の方へと行ったはずのAの周りには2〜3人、川では見かけなかった子達がいます。
不思議に思いましたが、楽しそうにしているA達に妙に惹かれるものがあり、僕たちは3人で話し合いをしました。
愛莉「私、森の池行ってみようかな〜」
拓馬「けど、愛莉のお父さんがダメって言ってたじゃん」
愛莉「けど、みんな行ってるしそんなに危なくないと思うんだけど。」
と何を言っても愛莉は聞く耳を持とうとしません。
僕たちも愛莉の押しに負け、すぐに帰ってこれば大丈夫!と安易な気持ちで同行しました。
森の池へは1本道でそれほど長い道のりではなく、子供の足でもすぐに辿り着くことができました。
ただ、池に着くと先ほどのA達の姿は見当たらず、 違和感は覚えましたが、代わりに川にはいなかった大きな魚が3匹ほど泳いでいます。
その魚に興奮した僕と拓馬は先ほど覚えた違和感などすっかりどこの空でした。
拓馬が持って来た、デジカメで写真をとったり、自由研究の為に持ってきた網でなんとか魚を捕ろうと奮闘していると、愛莉がいない事に気付きます。
慌てた僕たちは辺りを見渡しましたが愛莉はいません。
とんでもないことになったと、泣きそうになっている僕らをよそ目に愛莉はひょっこり森の中から出てきました。
拓馬「どこ行ってたんだよ!心配したじゃんか!」
愛莉「森の中にね。Aくんが居たの。こっちにおいでって言うから行ったら友達の印にってこれくれたの!」
嬉しそうにしている愛莉の腕には、ボロボロになった人形が抱かれています。
ただ、ボロボロな上に目の所にビー玉が埋め込まれた人形はとても気味が悪いものでした。
拓馬「なんだよそれ。汚いし気持ち悪いから捨てろよ!」
愛莉「やだよ!せっかく貰ったのに!
それに、気持ち悪くないもん!」
愛莉はその気味の悪い人形がとても気に入ったらしく離そうとしません。
そんな会話をしている内に結構な時間が経っていて、僕たちは急いで元来た道を帰りました。
しかし、愛莉が持っていた人形のせいで僕たちが池に行ったことがばれてしまい、こっぴどく怒られたのは言うまでもありません。
愛莉母「そんな人形捨ててきなさい!」
愛莉「やだ!」
そんな会話を続けていると、普段は優しく温厚な愛莉父が口を開きました。
愛莉父「それ以上わがままを言うならキャンプやめて帰るぞ!」
いつもは優しい愛莉父が怒ったことにさすがの愛莉も諦め、人形は手放すことに決まりました。
その後は愛莉母が作ってくれたおにぎりを食べたりBBQをしたりして夜を迎えることになります。
昼間に大はしゃぎで遊んでいた僕たちは、すぐに睡魔が訪れ3人で川の字でテントの中で眠りにつきました。
翌朝、起きると愛莉が言いました。
愛莉「夢の中に昨日の人形が出てきた!やっぱり持ち帰りたい!」
しかし、昨日捨てた場所を探しに行っても人形はなく、結局愛莉は人形を諦めることになりました。
前日の空とはうってかわり、雨が降り出しそうな天気にはがっかりしましたが、雨にうたれることもなくキャンプを無事に終え、僕たちは帰ることになりました。
初めてのキャンプに大満足した僕たちは、帰りの車の中でも大はしゃぎで盛り上がっていましたが、気がつくくと寝てしまい、起きたら家に着いていました。
愛莉の家族にお礼を言い、自由研究の為に集まることを約束し、それぞれの家へと帰りました。
後日、愛莉がキャンプから帰った日に怖い体験をしたことを話します。
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以下、愛莉から聞いた話です。
なんでもキャンプから帰ったその日の夜に夢を見たらしく、気がつくと例の森の中の池にいたそうです。
先日と同じように森の中のAに手招きをされ、近づくと、こないだとは違い、AとAの母親と思われる女の人がいたそうです。
顔はよく見えなかったらしいのですが、なんとなく雰囲気でそう思った。
と愛莉は言っていました。
先日と同じ様に人形をAがくれようとしたところで、愛莉は怒った父を思いだし、
「ごめんね。お父さんに怒られるから本当は欲しいんだけど、貰えない。」
と断ったそうです。
Aがむすっとした顔をすると夢は終わりを迎えましたが、
そこで目が覚めた愛莉はある違和感に気付きます。
まるで金縛りにあった様に身体が動かせなかったらしいのです。
かろうじて動かせる目で、寝ているベットとは逆の壁にある窓をみると、閉まっているはずのカーテンがゆっくりと開いていきました。
直感で、
見てはいけない。
と悟った愛莉でしたが、どうしてもその光景から目が離せません。
カーテンが開ききると、そこにはAと女がいました。
その表情は表情と言えるものがなく、まさに 無 といったものだったそうです。
ここ、2階なんだけど…
と意外にも冷静だった愛莉ですが、その時間も長くは続きません。
「なんでいつもうちの子だけ仲間外れにされるの」
女が無のまま大声で叫び始めたそうです。
その数秒後、ドアが勢いよく開き、
愛莉母「愛莉!どうしたの!」
愛莉のお母さんが慌てて部屋に入って来ました。
それと同時に金縛りも解けたそうです。
お母さんが来たことに安心した愛莉は、大泣きしてしまったそうです。
少しして、落ちついた愛莉は、
愛莉「お母さんどうして部屋に来たの?」
と尋ねたそうです。
愛莉母「どうしてって…あんたの部屋から窓を叩くすごい音が聞こえたから飛び起きて慌てて来たのよ!」
愛莉は今、自分の身に起きたことを話しました。
愛莉母「というかあんたさっきから何握ってんの」
愛莉の右手にはビー玉が2つ握られていました。
それを見た愛莉は、また大泣きしたそうです。
話を聞いているお母さんも、最初は半信半疑でしたが、自分の聞いた音とビー玉を見て、良くないことになっていることに気づき、翌日お祓いをしに行ったそうです。
それ以来、あの夢を見たり怖い思いをすることもなくなったそうなので一安心ですが、愛莉は今でもビー玉が苦手みたいです…
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後日、聞いた話によると、あの池では僕たちがキャンプをした1年前に、親子が自殺をした場所らしく、それで愛莉父も近寄っては行けないと注意したらしいです。
今でもあの親子は誰かを待っているのでしょうか…
作者た◯ちゃん
僕の友人の愛莉が体験した話です。
夏は楽しいイベントが多いですが、その傍らで危ないものの影が潜んでいるかもしれません。
皆様もお気をつけください。
表紙には遊び場を使用させて頂きました。