短編2
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ばあちゃん

僕のばあちゃんの話しです。

母方のばあちゃんは不思議な人でした。

言う事が次々に当たるのです。

天気予報から、今から来る来客者の服装。

それに、3日後に起きた地震を予言した時は、皆が本当にびっくりしました。

実は、ばあちゃんの凄い所はこんなものでは無いのです。

ばあちゃんは人の死期がわかるのです。

ある時は、村の自治会長さんが家に来て母と話していた時に、

「今年の盆踊りまでもたないかもねぇ」

自治会長さんの方を見ていたばあちゃんは、そう呟いていました。

その2ヶ月程後に自治会長さんは心臓発作で急に亡くなりました。

その2日後は村の盆踊りの日でした。

ある時は、隣の家のお孫さんが大阪から帰省していた時、

「まだ若いのに…。気の毒にのぉ」縁側から外を見ていたばあちゃんが淋しそうに言うので外に目をやると、隣のお孫さんが大阪の大学に戻る為、バイクに荷物を積んでいる所でした。

その日の昼過ぎにそのお孫さんは、高速道路で事故に巻き込まれ亡くなりました。(当時ニュースで放送されました)

このばあちゃんの力を知るのは、僕と、母と、叔母の3人だけでした。

そんなある日、朝からばあちゃんはいつになく母に、「おはぎを作るから手伝ってや」

「着物の仕立ての直し方を教えてやるわ」

とか言い、その日一日母と離れる事なく過ごしました。

それはとても珍しく、普段ならおはぎを作るのも、着物を仕立て直すのも必ずばあちゃんは一人でやっていたし、逆に手伝う事を強く拒む様な人でしたので、母と首を傾げました。

それと母から聞いたのですが、この日のばあちゃんは「おおきにな」

「よう手伝ってな」

と、何度となく言っていたとの事でした。

次の日の朝。

ばあちゃんは寝床で亡くなっていました。

人の死期だけで無く、自分の逝く時も分かっていたのでしょうか。

女手一つで育て上げた最愛の母との最後の一日を過ごし、ばあちゃんは来るべき日に逝ったんだな…。

と、僕は感じました。

あの日の事を母と思い出す度に、母の目からは止めどうも無く涙が溢れ落ちるのでした。

怖い話投稿:ホラーテラー うーたんさん  

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