この話は以前、私の母から聞いた話です。
母の住んでいた町には、ため池がありました。
ある日、そのため池に仲のいい2人の小学生が池の魚や蛙を捕るために釣竿を持って遊びに行きました。
しばらく遊んでいるうちに、1人の男の子が釣竿を池に落としてしまいました。
必死で拾おうとしたのですが、手が届きそうで届きません。
そこで、2人で協力して手をつないで何とか拾おうと試みたのです。
足元がぬかるんでいるので滑りやすく、なかなか思うように釣竿に手が届きません。
その時!後ろで手を引っ張っていた少年の顔に虫が張りついて思わず手を離してしまいました。
「わあっ!」と言った瞬間、その釣竿を落とした少年は池に落ちてしまいました
怖くなった少年は無我夢中で逃げるように家に帰り、誰にも話さず一晩過ごしてしまいました。
翌日、学校では、その少年が行方不明だと大騒ぎになっていて、ますます何も言えなくなって、そのまま時が過ぎ、少年は見つからないまま数年が経ちました。
ある日、偶然にも、そのため池の近くの公園に遠足に行くことになり、嫌だなぁ~と思いながらも何事もなかったように、そのため池を通りすぎ、目的地の公園に着きました。
お弁当が終わって、みんなで鬼ごっこをすることになり、その少年は鬼になりました。
少年「もういいか~い?」
みんな「ま~だだよ!」
と繰り返すうち、
「もういいよ~」という聞き慣れた声がかすかに聞こえました。
耳をすまして聞くと、あのため池から聞こえてきます
背筋がゾッとして振り返ってみると、確かに あの池のほうから聞こえます。
何かに誘われるように、足がため池に向かい、ため池に着くと、自分が見殺しにしてしまった少年が怨めしそうな顔で立っています。
「何で助けてくれなかったの?」
と問いかけられた瞬間、何かに引っ張られるように足を滑らし、少年は池に落ちました。
目を覚ました時、少年は病院のベッドの上でした。
学校の先生には、どうしてため池に行ったのか聞かれたのですが、その時は何も答えられなかった。
ただ、そのため池には今でも少年の幽霊が出るというウワサがある。
怖い話投稿:ホラーテラー たっくんさん
作者怖話