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中編3
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何もできなくて

私が高1だった時

同じクラスにYって男子がいた

しょっちゅう色んな女子に告ってる、どうしようもない奴だった

顔も、不細工で

ぽっちゃりしてて不健康そう

いつも冬物の黒い皮ジャンで学校に来ていた(高校は私服校だった。)

他の男子は誰もYを相手にしてなかった。

Yは私にも、告白してきた

というより、帰り道

いつも後ろを付けてきていた

始めはクラスメートとして普通に接しようと努力していた、

それがいけなかったのかもしれない

Yは、だんだん私に懐く様になった

でも、Yと仲が良いと思われたくなかった私は

わざとYを避けて

なるべく関わらない様にして、でも挨拶は欠かさずしていた。

始めは、帰り道が偶然一緒なんだと思っていたけど

その内、休みの日や

バイトからの帰り道でも

Yが付けてきてるのに気づいた。

怖くなった私は、

帰りはなるべく遠回りをする様にした

だけど誰にも言えなかった

夏休みになっても

Yはストーカーをやめなかった

お盆に家族で田舎に帰る事になり、

「田舎だったらYがいない!」と私は大喜びで、出かけていった。

近場だったので1泊で家に帰ってきて

テレビを見ていると

母が

「マヲ、トイレのゴミ捨ててくれたの?」と聞いてきた

「いや、捨ててないけど」と答えると母が言った

「え、無くなってるんだけど?」

トイレを見に行くと、ゴミ箱の中が確かに空っぽだった……

自分の部屋に行き、タンスの中を見ると

家に置いてあったパジャマが全部、無くなっていた。

「Yだ」

なんの証拠もないけど

私はそう思った

体が震えて

涙が出た

夜になってベッドに入ると布団の中が、ぐっしょり濡れていた

汗臭くて、少し生臭かった

私は悲鳴をあげて

駆けつけた兄に、しがみついてワンワン泣いた

ショックでおかしくなりそうだった。

それから、私は一歩も母の部屋から出ずに夏休みを過ごした。

友達からのメールも全部、無視した

新学期を迎えて、重たい気分のまま

嫌々学校へ行った

久しぶりに会ったT子が「大丈夫だった?」と話しかけてきた

他の皆も心配そうだった

「ごめんねメール」と言うとT子が言った

「そうじゃなくて。Yにストーカーされてたでしょ?心配したんだよ」

「なんで知ってるの」

「うちら皆、知ってるよ

なんにもされなかった?」

T子と喋ってるとMが話しかけてきた

「でも、もう大丈夫だよね。Y、空き巣やって捕まっちゃったし。」

もちろん、私は何も話してないから

皆、私の家に変質者が入った事は知らない

Yが私をストーカーしてた事は、最初から皆も気づいてたらしい

Yは、8月28日に

近所の老人の家の仏壇を探っている所を、老人の息子さんに捕まったらしい。

私はその話を聞いて教室で狂った様に泣いた

しばらくすると先生が来て保健室に連れて行かれた。

その後の事は覚えていない

いつの間にか家に帰ってきていた。

Yはどこかにいなくなった

誰も、Yがどうなったか教えてくれない。

だけど今も下着が定期的に盗まれる。

友達も彼氏も心配してくれて、よく「何もできなくてごめんね」と言われる。

大学を卒業したら、家族と遠くに引っ越す予定だ。

怖い話投稿:ホラーテラー マヲさん  

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