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これは私が大学一年の時の話です。
当時、私は生まれ故郷の町を離れ、隣の県の大学に一人暮らしをしながら通っていました。
一人暮らしをしているアパートは日当たりも良く、大学や駅からも差ほど遠くなく、気に入っていました。
ただ一つ悩みだったのが、夜中になると時たまインターホンが鳴ることでした。
最初は怖くて布団に潜って鳴り止むのを待っていました。
ある日、寝ようと思い布団に入り、明かりを消した数分後の事です。
「ピンポ~ン」
インターホンが鳴りました。
いつもの事だと思い、無視して寝ようかと思いましたが、長いことインターホンが鳴り続けていました。
怖さもありましたが玄関に向かって、「どちら様ですか?」と問いかけました。
しかし、何も返ってこなく無言でした。
そっと、覗き穴から覗いてみると誰の姿もありませんでした。
不信感を覚えつつ、私は大学に備えて眠りにつきました。
そんな事があった数日後、私は大学の先輩や友達と遊びに出掛け、帰宅するのが遅くなり深夜になりました。
やっと住んでるアパートが見えてくると、私の住んでる部屋の前に人が立っているのが分かりました。
男性のようでしたが、フードを深く被っていて顔が見えません。
見えるのは口元だけで、ずっとインターホンを鳴らしているようでした。
さすがに真夜中にインターホンを鳴らし続けていると、ご近所の方にも迷惑なので声をかけてみました。
「あのー、家に何かご用ですか?」と声をかけてみと、男性はこちらの方を向き、ニヤリと不気味な笑みを浮かべました。
薄気味悪さを感じつつも、「いつも夜中にインターホンを鳴らしているのは、あなたですか?時間を考えて下さい!!」と男性に言い、男性に近づくと男性の顔がハッキリと見え、あまりの恐ろしさに「ヒャッ…!!」と声が出てしまいました。
男性の顔は血で染まり、目の中は真っ黒く空洞で血が流れ出ていました。
あまりの恐ろしさに私が怯えていると、男性は変わらず笑みを浮かべ、何かボソボソ言いながら近づいて来ます。
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「お前を殺す」
私は震える体を何とか動かし、その場から逃げました。
後ろから追いかけて来るかも知れないと思いながら、後ろも振り返らず、近所に住む友達の家に駆け込みました。
幸い友達に事情を話すと、しばらく置いてもらえることになりました。
後日、友達や先輩に手伝ってもらい、引っ越しをすませ、あのアパートを引き払いました。
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後から聞いた話なのですが、私が住んでいた部屋には若い女性が住んでおり、よく真夜中に男性を連れ込んでいたそうです。
女性には結婚を約束した男性がいたそうなんですが、男性が女性の浮気や男遊びを知り、女性を問い詰めた所、酷いフラれ方をされたそうです。
男性は女性の家から帰る途中、大きな事故に遭い亡くなったそうです。
男性は悲しみを抱えたまま亡くなり、自分をこんな姿にした女性が許せないのでしょう。
その頃から夜中にインターホンを鳴らして訪ねてくる男性がいたそうです。
その女性は、いつの間にか引っ越し、そのまま行方が分からなくなったそうです。
あれから、あの部屋は私が引っ越した後に入居した人がいたそうです。
今も住んでいるそうなんですが、あの男性は今も女性を訪ねてやってきているんでしょうか…。
作者えす
このお話はフィクションです!コメントありがとうございました(*^^*) 2017/2/1