中編3
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真夜中の訪問者

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これは私が大学一年の時の話です。

当時、私は生まれ故郷の町を離れ、隣の県の大学に一人暮らしをしながら通っていました。

一人暮らしをしているアパートは日当たりも良く、大学や駅からも差ほど遠くなく、気に入っていました。

ただ一つ悩みだったのが、夜中になると時たまインターホンが鳴ることでした。

最初は怖くて布団に潜って鳴り止むのを待っていました。

ある日、寝ようと思い布団に入り、明かりを消した数分後の事です。

「ピンポ~ン」

インターホンが鳴りました。

いつもの事だと思い、無視して寝ようかと思いましたが、長いことインターホンが鳴り続けていました。

怖さもありましたが玄関に向かって、「どちら様ですか?」と問いかけました。

しかし、何も返ってこなく無言でした。

そっと、覗き穴から覗いてみると誰の姿もありませんでした。

不信感を覚えつつ、私は大学に備えて眠りにつきました。

そんな事があった数日後、私は大学の先輩や友達と遊びに出掛け、帰宅するのが遅くなり深夜になりました。

やっと住んでるアパートが見えてくると、私の住んでる部屋の前に人が立っているのが分かりました。

男性のようでしたが、フードを深く被っていて顔が見えません。

見えるのは口元だけで、ずっとインターホンを鳴らしているようでした。

さすがに真夜中にインターホンを鳴らし続けていると、ご近所の方にも迷惑なので声をかけてみました。

「あのー、家に何かご用ですか?」と声をかけてみと、男性はこちらの方を向き、ニヤリと不気味な笑みを浮かべました。

薄気味悪さを感じつつも、「いつも夜中にインターホンを鳴らしているのは、あなたですか?時間を考えて下さい!!」と男性に言い、男性に近づくと男性の顔がハッキリと見え、あまりの恐ろしさに「ヒャッ…!!」と声が出てしまいました。

男性の顔は血で染まり、目の中は真っ黒く空洞で血が流れ出ていました。

あまりの恐ろしさに私が怯えていると、男性は変わらず笑みを浮かべ、何かボソボソ言いながら近づいて来ます。

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「お前を殺す」

私は震える体を何とか動かし、その場から逃げました。

後ろから追いかけて来るかも知れないと思いながら、後ろも振り返らず、近所に住む友達の家に駆け込みました。

幸い友達に事情を話すと、しばらく置いてもらえることになりました。

後日、友達や先輩に手伝ってもらい、引っ越しをすませ、あのアパートを引き払いました。

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後から聞いた話なのですが、私が住んでいた部屋には若い女性が住んでおり、よく真夜中に男性を連れ込んでいたそうです。

女性には結婚を約束した男性がいたそうなんですが、男性が女性の浮気や男遊びを知り、女性を問い詰めた所、酷いフラれ方をされたそうです。

男性は女性の家から帰る途中、大きな事故に遭い亡くなったそうです。

男性は悲しみを抱えたまま亡くなり、自分をこんな姿にした女性が許せないのでしょう。

その頃から夜中にインターホンを鳴らして訪ねてくる男性がいたそうです。

その女性は、いつの間にか引っ越し、そのまま行方が分からなくなったそうです。

あれから、あの部屋は私が引っ越した後に入居した人がいたそうです。

今も住んでいるそうなんですが、あの男性は今も女性を訪ねてやってきているんでしょうか…。

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