気付いたら俺は、何もない個室にいた。
ひんやり冷たい床に寝転がっているようだ。
ドアもない。光がどこから漏れているのかは分からないが真っ暗というわけではないようだ。
立ち上がり、入り口を探すがなにもない。
隠しスイッチはないかと探すがそんなものはどこにもなかった。
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急に声の低い男の声で、
「君はそこからでられない。だが、チャンスを与えよう。ルーレットの結果次第でここから出してやる」と部屋の外なのかどこかにスピーカーがあるのかは分からないがしっかりと聞こえた。
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俺はわけわからないまま、ぼーっと立っていた。それからしばらくたったが、何も変化がない。ふと後ろを向くと知らないうちに、小さいルーレットが置いてあった。
恐る恐る近づくと、ルーレットには、
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「死」と「生」の2つの文字が書いてあるだけだった。半分の確率で、どうやら脱出できるらしい。俺は妙に冷静だった。なぜなら、運だけは強いと自分でもずっと思ってきたからだった。半分の確率で外すわけないと思っていたからだ。
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ルーレットにはボタンらしきものが付いていた。おそらくボールが発射されるのだろう。
ボタンをすぐ押そうとしたが、さすがに命がかかっていると思うとためらった。
だが、何をしていても意味がない。押すしかなかった。
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俺は、呼吸を止めゆっくりボタンを押した。
パチンコ玉くらいのボールが勢いよく発射された。カラカラカラカラと音を立て、回っている。「死」と「生」を行き来している。生きた心地がしなかった。恐怖に負け目を閉じていた。恐る恐る目を開けると、ボールは
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「生」と書かれた溝に入っていた。俺は、一気に息を吐いた。安堵感からかわけのわからない相手に向かって、
「俺の勝ちみたいだな!早くここから出せ!」
と罵声を飛ばした。
どれほど時間が経ったかわからないがものすごく長く感じる時間が経った。急に、スーーッという音が聞こえた。
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どこに空気穴があったか分からないが何かのガスが出ているようだった。俺は殺されると思った。「生」も「死」も関係なしに死ぬのだと思った。顔もわからない相手のことを考えながら意識がなくなっていった。
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……目が覚めた。
さっきと同じ部屋にいるようだった。
俺は夢なのか現実なのかわけわからなくなっていた。でも感覚はある。さっきの出来事も夢じゃないと自信を持って言える。
すると、聞き覚えのある声が聞こえた。
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「セカンドステージへようこそ。」
作者めろろん