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初投稿になります。駄文になりますが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
これは、私の家族、そして私自身に起きた本当の出来事です。
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これは、私がまだ母の胎内にいたころの話です。
我が家の家族構成は、父、母、兄と私の4人家族です。
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母親は看護婦をしております。母と父はその当時、見える人だったそうで、病院で何度か霊体験をしているそうです。軍服を着た霊が匍匐状態で見ていたり、亡くなりそうな患者さんが自宅に現れ、翌日亡くなったり。様々な体験をしている母ですが今回、母がもっとも恐ろしいと思ったという出来事を綴りたいと思います。
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私が母のお腹の中にできて数ヶ月後、少しお腹が膨らみ、産休に入ろうかという時です。
当時まだ新米だった母は、まったく言うことを聞かない老人の看護をしておりました。白髪の痩せこけたその老人は、母のやる事を全否定、なにかと文句をつけてきたそうです。若かった母は、「ムカつく」「ふざけるな」と憤りを感じていたそうですが、軽く謝りながら看護をしていたそうです。
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そんなある日、母親が夜勤の時です。ナースステーションにナースコールの音が鳴りました。その老人からのナースコールでした。
新米とはいえ、夜勤回数はこなしていた母はいつも通りその老人のところへ駆けつけました。
母が駆けつけると、老人はベッドに腰掛けて座っており、何事もなさそうにしていました。
「どうされましたか?」
母が訪ねると老人は、
今日は1人が寂しい。寝るまで話し相手をしてくれ、
というので、母は「可愛いところあるな」程度で、話し相手をしたそうです。
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母は、その老人をあまり好いてなかったので、身の上話などは今までしたことがありませんでした。
うっ血性心不全という病気で入院していた老人ですが、子宝に恵まれず、先に奥さんが無くなり1人だったそうです。子供と幸せそうにしている人を見るたびうらやましく思う。母のお腹が膨らんでるのを見て、「おめでとう」を言いたかった。そんなことを口にしていたそうです。
母はその時、老人が可哀想に思い、同情の言葉をかけたと言います。
今思えばこれがよくなかった。母はそういいます。
同情の言葉をかけたとき、老人は母に初めての笑顔を見せたそうです。
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そんな話があの人とできるとは思わなかった。母は嬉しい気分でナースステーションに戻りました。夜勤が終わり、家に戻り、「さぁ寝よう」と思ったとき、電話がなりました。
「老人が心筋梗塞で危篤状態」
母にとってはショックでした。これからもっと仲良くなれると思っていた人が、危篤状態なわけですから。病院にとんぼ返りしたときには緊急手術中。のちに、亡くなってしまいました。もしかしたら、初めてあんな風に喋ってくれたのも自分の死が近いことを悟ったからかもしれない、と母は思ったそうです。
その日、遅くに帰宅した母は、お風呂に入らずぐっすり寝てしまいました。
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その日の深夜。まだ2歳の兄と、仕事の疲れでくっすり寝てしまった母。父が最後に布団に入り、眠りにつきました。
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どのくらいだったでしょうか。なにかの荒い息遣いで父は目覚めました。外はまだ真っ暗。
隣を見ると、母がものすごい量の汗をかいて苦しんでいました。声をかけますが呻き声だけあげて、返事はしません。
「なにかの病気か!?」
父はそう思い、布団から跳ね起き、救急車を呼ぶために電話まで行こうとドアに目を移しました。
ドアの横には、母が化粧をするための化粧鏡(横並びに3個、鏡がついているやつです。)があります。
その鏡が視界に入りました。すると、
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そこには、母のお腹の上に正座で座る老人が映っています。しかも青白く。化粧鏡の位置の関係上、横顔しか見えませんが、無表情で母の顔をじっと見つめています。
驚いた父は、母のほうを振り向きますが、暗い部屋に目が慣れて、母がうっすら見えるにも関わらず、お腹の上には明らかになにもいません。
父は急いで部屋の電気をつけます。
お腹にはなにもいません。化粧鏡を見ても、なにもいませんでした。電気の明かりで母が目覚めました。兄はぐっすり寝ていたそうです。
父が、先ほどの自分がみた状況を説明すると、母は、
「あなたと同じ状況の夢を見た。●●さん(老人)が私のお腹の上に正座している夢を見た。そして、私の気持ちが分かるんだろ?と繰り返し話かけてきた。」と言います。母は、前記した母と老人の話を父にしました。
そこで2人は確信したのです。
「あの老人は、子供ができない仲間を作ろうとしたのだ、、」と、
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その日以来、老人が現れることはありませんでした。母はついに、お腹の中の赤ちゃんを産むことになります。しかし、生まれた赤ちゃんはすぐ肺炎にかかり、亡くなる寸前まで弱ってしまいました。母は毎日赤ちゃんに付きっきりでいました。その赤ちゃんは苦しみながらも、なんとか生きようとしていたように見えた、と母が言っておりました。看病と治療の甲斐があって、一命を食い止めることができた赤ちゃん。私です。
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いま私は元気に暮らしております。たくさんの出会い、経験を重ね、今を懸命に生きています。ただ1つ、気がかりなことがあります。
不整脈が治しても再発するのです。今はもう、治しても再発するため病院に通ってはいませんが、心筋梗塞になるかもしれない病気であるためとても不安です。もしかすると、私の死因はあの老人と同じ「心筋梗塞」なのかもしれません。
作者酒童
ずっと読者をしておりました。
みなさんの話を見ていて、私も投稿したいと思い今回投稿いたしました。
今回の話は、父と母から聞いた話ですが、フィクションはありません。
胎児を襲う幽霊が本当にいると思うと、書いている本人が恐怖を覚えました。
これからも「酒童」が投稿いたしますので、よろしくお願いいたします。