中編3
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誰が置いた?

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これは私の友人Aから聞いた話です。

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私の地元には、あまり知られていない心霊スポットがあるそうで。廃墟となったホテルなのですが、そこでいわゆる「見た」という情報があったそうです。

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そこに、私の友人であるAとAの友人のB、Aの彼女のCとBの彼女のDの4人で肝試しに向かいました。

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その日は夏のジメジメした暑さの夜でした。

ダブルデートをした4人は、せっかくの夏だから肝試しをしようという計画になり、そういう類の大好きなAがそのホテルを選び、向かうことになりました。Cはあまり乗り気ではなかったといいます。

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県道から少しだけ入った場所にあるのですが、手前にはコンビニもあり、行くまでの道中はさほど恐怖はありませんでした。

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そのホテルはビジネスホテルのようで、元は駐車場だったと思われる場所は雑草が生えて、外壁も塗装剥げが目立ち、さすがの佇まいをしていました。Aは肝試し中なにがあってもすぐ逃げられるように、車を出口の道の方向に向け駐車し、4人で入り口であっただろう扉を開け中に入りました。

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中に入るとすぐ左手にトイレ、右手にフロントとして使用されてたであろう場所がありました。そしてそのフロントの右手に非常口と書かれた扉がありました。Aは、

A「ホテルは数階あるから、2組に分かれよう」

と提案し、AとCが1階から、BとDが2階に分かれ、AとCが1階を探索。終わり次第2階にあがり、みんなで3階に向かう。これの繰り返しを7階までやり、7階だけは中途半端になるのでみんなで周ることになりました。

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みんな怖かったこともあり、特によく探索もしないでどんどん上の階に上がっていきました。その途中、何か写るかもしれないということで写真を撮りながら探索していましたが、これといって何か見たり異変はありません。Aは何も起きなかった為、みんなを驚かせようと7階に着いたとき、宿泊部屋の一室に入り、ドアを閉め、中からドアを思い切り叩きました。

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その瞬間、部屋の外の廊下から3人の叫び声が聞こえ、ダッシュする足音が非常階段に向かっていきました。Aは楽しくなり、低い唸り声を出しながら3人を追いかけていきました。

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外に出た3人はAのイタズラだと分かり、Aを怒鳴りました。Cは、怖がりな女の子だったこともあり泣き出してしまい、そしてCは

C「非常階段降りてる途中にスニーカー片方脱げちゃった」

と泣きながら言います。Aは、Cを泣かせてしまった罪悪感と日頃よくそのスニーカーを愛用して履いていたことを知っていた為、みんなを車で待たせて1人でスニーカーを取りにホテルへ入りました。

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先程となんら変わりのない風景でしたが、ふとAの視界に入ったものにAは唖然としました。

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フロントのフロントマンと客を遮る台の上に、Cのスニーカーが置いてありました。

Cは「非常階段を降りているときに脱げた」と言っていましたし、何より不意に脱げてその台に乗るわけがありません。

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Aは、あまりのありえない状況と恐怖でスニーカーまで走り、スニーカーを持つと猛ダッシュで車まで戻り、3人に何も話さずに無言で車のエンジンをかけ、その場から逃げました。

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というお話なのですが、後日談。Aはそのとき撮った写真を私に見せてくれました。Aはそのときの恐怖で忘れていたのですが、写真をスマホで撮っていました。その中にある写真の一枚なのですが、非常階段を降りてるときに足元を撮ってる写真でした。

A「降りてるときって驚かしてたときで、撮った覚え全然ないんだよな」

と言ってましたが、画面右端に壁から白いモヤのようなものが出てました。Aは気持ち悪いので、私に見せてその場で削除してしまいましたが、あのモヤがなんだったのかはわかりません。

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