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中編3
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親切

もう10数年前にmixiに投稿した話です。

こちらには初めて投稿するので、なんも効果演出なくてすみません。

高校二年の頃、周囲も原付バイクなんぞの免許を取り始め、僕もその流れに乗りました。

当時、流行っていたのはホンダのジョグという原付バイクでして、バイトの金を注ぎ込んで新車を購入しました。

買って間もなく、ちと自慢してやろうと親友のFの家に寄った帰りのことです。

深夜でもなく、10時くらいだったと記憶してます。

彼の家から僕の家までは20分くらいの距離。

千葉の田舎(と言っても東京寄り)なので、せっかく新車を買ったのですからスピードを出せるような道を選びました。

その道は両脇に田んぼがあり、並行して通るバス通りと比べて信号もなく、フルスロットルには持ってこいの道でした。

普通ならバス通りを走るところです。

その田んぼ道に入り、おりゃーー!っと飛ばすところですが、入って数十メートルくらいでエンジンが「ブスススっ」と止まってしまいました。

両脇は田んぼですし、夏蟲みたいなジジジジジジ、、という鳴き声と、少し離れて並行して走るバス通りの車の音は聞こえます。

街灯は一定の距離にありました。

エンジンが止まってしまい、セルモーターもキックも利かず、ただただ何が起こったのか。

そんな道での出来事ではありましたが、怖さよりかは「あの野郎。。」とスクーターを買った店主への怒りが強かったです。

並行して通るバス通りは数十メートルでその道と合流しますので、遠くに車が横切って行くのが見えました。

何をしても、うんともすんとも。

しょうがなく、カラカラとスクーターを押していた時です。

後ろから「どうしました?」と声が聞こえました。

振り返ると、作業服を来た初老の男性が立っており、確かその近くに車の整備工場があったので、内心「こりゃ助かった」と思いました。

「急にエンジンが止まってしまって」

「そうですか。見てみましょうか」と。

作業服の男性は僕のスクーターを一通り見渡し、後輪の辺りを触ってるな、、と思ったときです。

突然、土下座しました。

「すみません、私の友人が後輪に噛み付いてます」

「……??」

「こらぁー放せ!! 」

「…………???」

「お前は、、またパンクさせて!!」

その方は後輪に噛み付いているという友人に「放せ、やめろ」といようなジェスチャーで手を振り回してました。

僕は奇妙というかは、「面倒なオッサンに会っちゃったなぁ」という状況でして、「いやいや、すみません。大丈夫ですから」と。

その男性は「全ては私の責任」と、「あそこの明るいところまで私が押して行きますから」と、スクーターをカラカラ押して、僕が何か言うと深々と「本当に申し訳ない、この(友人)のバカ野郎が」と頭を下げ、何回かそれを繰り返しました。

「タイヤに噛み付くなー!!!」と繰り返す作業服の方。

少し先にバス通りが見え、車がビュンビュン通ってます。

その辺りで、少し気味も悪くなり「いや、もうイイです。有難うございます!」と半ばスクーターを取り戻しセルモーターを回すとエンジンがかかり。。

一気に家まで着きました。

そこまでなら「親切だけど、ちと頭のイカれたオッサンとの遭遇」で終わったんですが。

翌朝、出掛けるのでスクーターを見ると、後輪がパンクしてました。

ベコベコです。

買った店に持っていくと、タイヤのチューブの中から差し歯が何本も出てきました。

Concrete
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