もう10数年前にmixiに投稿した話です。
こちらには初めて投稿するので、なんも効果演出なくてすみません。
高校二年の頃、周囲も原付バイクなんぞの免許を取り始め、僕もその流れに乗りました。
当時、流行っていたのはホンダのジョグという原付バイクでして、バイトの金を注ぎ込んで新車を購入しました。
買って間もなく、ちと自慢してやろうと親友のFの家に寄った帰りのことです。
深夜でもなく、10時くらいだったと記憶してます。
彼の家から僕の家までは20分くらいの距離。
千葉の田舎(と言っても東京寄り)なので、せっかく新車を買ったのですからスピードを出せるような道を選びました。
その道は両脇に田んぼがあり、並行して通るバス通りと比べて信号もなく、フルスロットルには持ってこいの道でした。
普通ならバス通りを走るところです。
その田んぼ道に入り、おりゃーー!っと飛ばすところですが、入って数十メートルくらいでエンジンが「ブスススっ」と止まってしまいました。
両脇は田んぼですし、夏蟲みたいなジジジジジジ、、という鳴き声と、少し離れて並行して走るバス通りの車の音は聞こえます。
街灯は一定の距離にありました。
エンジンが止まってしまい、セルモーターもキックも利かず、ただただ何が起こったのか。
そんな道での出来事ではありましたが、怖さよりかは「あの野郎。。」とスクーターを買った店主への怒りが強かったです。
並行して通るバス通りは数十メートルでその道と合流しますので、遠くに車が横切って行くのが見えました。
何をしても、うんともすんとも。
しょうがなく、カラカラとスクーターを押していた時です。
後ろから「どうしました?」と声が聞こえました。
振り返ると、作業服を来た初老の男性が立っており、確かその近くに車の整備工場があったので、内心「こりゃ助かった」と思いました。
「急にエンジンが止まってしまって」
「そうですか。見てみましょうか」と。
作業服の男性は僕のスクーターを一通り見渡し、後輪の辺りを触ってるな、、と思ったときです。
突然、土下座しました。
「すみません、私の友人が後輪に噛み付いてます」
「……??」
「こらぁー放せ!! 」
「…………???」
「お前は、、またパンクさせて!!」
その方は後輪に噛み付いているという友人に「放せ、やめろ」といようなジェスチャーで手を振り回してました。
僕は奇妙というかは、「面倒なオッサンに会っちゃったなぁ」という状況でして、「いやいや、すみません。大丈夫ですから」と。
その男性は「全ては私の責任」と、「あそこの明るいところまで私が押して行きますから」と、スクーターをカラカラ押して、僕が何か言うと深々と「本当に申し訳ない、この(友人)のバカ野郎が」と頭を下げ、何回かそれを繰り返しました。
「タイヤに噛み付くなー!!!」と繰り返す作業服の方。
少し先にバス通りが見え、車がビュンビュン通ってます。
その辺りで、少し気味も悪くなり「いや、もうイイです。有難うございます!」と半ばスクーターを取り戻しセルモーターを回すとエンジンがかかり。。
一気に家まで着きました。
そこまでなら「親切だけど、ちと頭のイカれたオッサンとの遭遇」で終わったんですが。
翌朝、出掛けるのでスクーターを見ると、後輪がパンクしてました。
ベコベコです。
買った店に持っていくと、タイヤのチューブの中から差し歯が何本も出てきました。
作者さか坊