ある紳士が洋服店に来店した。
「妻の服を買いたいんだがね。急ぎなんだ。今日は妻の誕生日でね、、、」
「かしこまりました。今日中に仕上げて見せます。ただ、当店はオーダーメイドですのでサイズとデザインを、、、」
「あぁ、そうなんだが妻はわけがあって来れなくなってしまってね。サイズは家で大体調べてきたんだが、これじゃだめかな?」
といって紳士は肩幅などの書かれた紙を取り出した。
「わかりました。たぶんできると思いますが、あくまでこれに合わせて作りますので違った場合責任は負いかねます。よろしいですか?」
「あぁ、まあいいよ。妻が口を出すことはもうないだろうしな。あと、デザインはこっちの紙に書いてあるので頼む」
「はい、ありがとうございます。おとなしい奥さんなんですね」
「まあ、あいつは化粧をしたりすると全く雰囲気が変わって見えるから、そうみえるかもしれない。だが、実際はあんまり性格がよくないんだよなぁ、、、」
「まあまあ。喧嘩するほど仲が良いとも言いますし」
「おいおい、勘弁してくれよ」
「おっと、すいません。では、サイズのメモは終わりましたので夕方ごろにまた来てください」
「ああ、わかった」
そして夕方、紳士は車で来店した。
「いらっしゃいませ。服は完成しましたので、今お見せしますね」
「あぁ、頼むよ」
店員が服の入った袋を持ってきた。
「うん、色もいいしオーダー通りだ。さすがだな」
「ありがとうございます。おほめに預かり光栄です」
「じゃあ、車に積んでくれるか?」
「はい」
店員がトランクに服を入れようと手をかけると、紳士が言う。
「あぁ、すまんがもうトランクは満杯だ。後部座席に入れておいてくれ。化粧品とかが置いてあるが気にするな」
「あ、はい、かしこまりました」
店員が車に服を積み終える。
「メイク落としに髪染め、奥さんへのプレゼントですか?」
「あぁ。よりを取り戻そうと思ってね」
「そうですか。お二人の幸福をお祈りします。ところで、これからはどちらへ?」
「森に向かう。妻を連れてな。ちょっとしたドライブさ。」
「そうですか。心落ち着いていいですよね、森は」
「あぁ、、、ところでなんだがね」
紳士がショーウィンドウのマネキンを見て言う。
「はい?」
「こういう動かないマネキンに服を着せるのは、やはりコツがいるのかね?」
END
作者jitan
紳士はすでに妻を殺害して、トランクに入れている。森に一緒に行く=遺棄しに行くということ。服や化粧品が積んであるのは、妻を別人に見せて遺体がどのタイミングで見つかっても自分へ捜査が及ぶのを遅らせるため。
自作なんでクオリティが低いのはお許しください。