これは、私が大学生の頃の話です。
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最初は、彼の精神状態がおかしいだけかと思っていたんですが、今思えば、何が悪いものに取り憑かれていたのかも知れません。
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彼とはテニスサークルで知り合いました。
テニスがあまり上手くない私、利き手も彼とは逆なんですが、一生懸命教えてくれる優しい人でした。
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その性格が故、頼まれたことはあまり断れない彼は、仲のいい友達が好きな心霊スポット巡りに付き合わされては、お祓いに行ったりお守りを買ったりしていました
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ある時、あまりにも具合が悪くなったからと、数日後にはお祓いに行く彼が、一度寝込んだのを境に面倒がり、お祓いに行かずに過ごした月がありました。
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私は心配になりお祓いをすすめましたが、寝込んだきり何もないから大丈夫だと言って聞きませんでした。
確かに、いつもと変わりないし、大丈夫だろう。
そう甘くみて、それ以上はすすめませんでした。
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ですがある日、彼から友人を心霊スポットに誘うようになりました。
今までは、気乗りしないと言いながらも参加していたし、後々のことを考えていた彼が。
自分から誘い、お祓いにも行かない日々が続き、ツイッターにも心霊スポットの写真を載せるようになりました。
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サークルにも顔を見せずに、友人と出かける回数が増え続けました。
ですが、それと同時に私への愛情表現も変わりました。
プレゼントやデート、サプライズまで増えて、彼と過ごす日々が楽しかったです。
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私は内気な性格で、綺麗でもなければ可愛くもないので恋愛経験もなし。
そんな私を愛してくれる彼がとても好きでした。
友人は、変わっていく彼を怖がり、別れた方がいいと何度も私に言いましたが、私は別れると言う考えはなかったです。
あくまでも、心霊スポット巡りは彼の趣味だと割り切ろうと考えていました。
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ですがある日、彼が私にこう聞きました。
「お前の携帯に、男、いるか?」
その瞬間、いつもと違う彼の口調に鳥肌がたちました。
口調だけでなく、何かが違う、何とははっきりわかりませんでしたが、違和感と恐怖に襲われました。
「いるか?…いるか?…いるか?」
同じ顔で同じ言葉を繰り返します。
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「イルカ?イルカ?イルカ?イルカ?イルカ?イルカ?イルカ?イルカ?」
「お前にあげたよな、ぬいぐるみ。あげたよな、ネックレス。あげたよな、指輪。」
私は怖くなって逃げ出しました。
彼の家を飛び出し、自分の家に帰りました。
同じアパートに住んでいる友人を呼び、すべてを話すと、言われました。
「だから、別れろって言ったのに。」
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彼女に言われて我に返りました。
彼はおかしかったんだ、と。
なぜ気づかなかったのだろう。
自然と涙が溢れました。
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その日の夜は友人と引越しの準備をしました。
場所を決めるまでは、友人が家に泊めてくれました。
彼からのプレゼントもすべて、捨てました。
すべてを忘れてしまいたい気分だったからです。
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荷造りをし、ゴミを袋にまとめた次の日、彼から電話がかかってきました。
「なぜプレゼントを捨てた?別れてもいいから、頼むからプレゼントは捨てないでくれ。せめて指輪だけは身につけてくれないか?12万もしたんだ。」
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てっきり私は、別れるのが嫌なのかと思っていました。
一緒に聞いていた友人はため息。
「あなたの友人に渡しておくよう頼むので、あなたが自分で身につけてください。」
そう一言いい、電話を切り着信拒否にしました。
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また次の日、友人が私の家にピンキーリングを落としたというので、探しに戻りました。
一通り探してもなかったので、嫌々でしたが、彼からのプレゼントを捨てた袋の中を調べることに。
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彼からのものと間違って捨てていたら申し訳ないと思った私は、焦って探していました。
ようやく見つけたリングは予想通り、彼がくれたもの。
真ん中の鉱石は、カメラレンズのように私を映していました。
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横からその指輪を覗き込んでいた彼女は、なんだか青ざめた顔でした。
声も出ないような表情で、ただ指輪を眺めるだけ。
その理由を知るのは、指輪が喋った言葉を聞いたあとでした。
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「君が身につけなきゃ意味が無いんだ。」
作者ぱる
私はごく普通の会社員で、この体験をする前までも、普通の女でした。
この体験をしてから、幽霊というものを信じるようになり、みるようにもなりました。
きっと、彼には良くない霊が憑いていて、私にも、身の回りにも影響していたと思われます。
は私がもらったプレゼントにはすべて、小型カメラとマイクがついていました。
指輪が喋っていたのはこのせいで、私か身につけなきゃ意味が無いというのは、言葉のとおりでしょう。
別れよりプレゼントの心配をしたのは、捨てられてしまうと監視ができないと言った理由。
お祓いをしに行ったところで、こう言われました。
ストーカーに殺された霊が私に、その霊に呪い殺されたストーカーが彼に取り憑いたのだ、と。