ある雪の降る夜のこと。
自分は普段タバコを吸うんだが、アパートで一人暮らしをしていたため、室内では吸わないようにしていた。
ふと、タバコを吸おうと室外の電気をつけて部屋の外にでる。
雪を見ながら一服をして部屋に戻ろうとすると、ドアが開かない。
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あれ、おかしいな。
無意識のうちに鍵をかけたのかな?と思いポケットを探るが、鍵はない。
ドアはオートロックじゃないし、鍵のかかる音もしなかったし、そもそも古いアパートだ。
にもかかわらず、閉め出されてしまった。
さらに困惑してドアの横にあるキッチンの曇りガラスに視線を向けた。
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すると、室内には人の大きさほどの赤い影が見えた。
自分は一人暮らしだし、室内にも人の大きさほどの赤いものなんてない。
あれは、なんだろう。
思考をまとめるために、もう一本タバコに火をつける。
そして、視線をあげると赤い影は見えなくなっていた。
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タバコを吸う人はわかると思うんだけど、タバコの先に火をつけるためにタバコの先に視線を落とすだろ?
そのわずかな時間の間に部屋のなかの赤い影は見えなくなっていたんだ。
とっさにドアに手を伸ばすと今度はドアが開いた。
少し警戒しつつ室内にもどる。
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部屋の中に違和感はない。
・・・。
気のせいか。
仕事終わりだし疲れているんだろう。
今日は早く寝よう。
そう思ってベッドに潜り込む。
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それからしばらくの間、別に変わったことはなかった。
やっぱり気のせいか、と思いそんな出来事も忘れ、過ごしていたある初夏の夜。
例によって部屋の外でタバコを吸いはじめ、ちらりと曇りガラスに目をやると、赤い影がみえた。
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ドアは、
shake
開かない。
やっぱり気のせいじゃなかった。
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再び閉め出され、部屋にはいる術を失ってしまった自分は、ドアの反対側にあるベランダの窓を、網戸にしておいたことを思い出した。
一階に住んでいたため、侵入することが可能だ。
建物を回り込んで、自分の部屋のベランダにある腰の高さ程のフェンスを乗り越える。
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網戸をあけ、カーテンをめくると、全身が赤い人がいた。
そいつは、全身の肌がただれて赤く見えるのだ。
一糸纏わぬ姿で、ドアの方を向いて立ち尽くしている。
男か女かもわからない。
・・・。
自分は恐怖で声が出ず、動くことも出来なかった。
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どれだけたっただろうか。
永遠に続くとも思われる時間、赤い背中を眺めていた。
ふと、気がついたらベットで目を覚ました。
どうやら眠っていたようだ。
あれは夢だったのか?
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少し落ちつくと、足に違和感を感じた。
自分は外用のサンダルを履いていた。
作者chai
初投稿でござい!