中編4
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基地

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私が小学校5年生の時に体験した話しです

北九州の治安の悪い地域で育ちました。

山と海に囲まれ子供の私たちには良い環境でした。

当時ハマっていた遊びが『基地作り』小学生の男子であれば誰もがハマった遊びじゃないでしょうか…

私たち3人グループは登山道の中腹から草むらに入り込んだ場所にある『防空壕』の後に基地を作り、毎日のように粗大ゴミのガラクタを片手に基地まで通いました。

テーブル、イス、火のつかないガスコンロなどガラクタで内装は装飾し『トキ』と名付けた野良犬まで飼っており、過去最高の基地が完成しました。

あれは、3人でトキを街まで散歩に連れ出し、基地に戻る時でした

トキを連れながら草をかき分け基地まで戻っている時

カン、カン、カン

聞き覚えの無い異音に足を止める3人

カン、カン、カン

異音の聞こえる方をゆっくりと見て5秒後に状況が把握できました

その音は

70歳前後であろうジャージ姿の老婆がトンカチを片手に…

sound:19

わら人形を木に打ち付ける音だったのです

私はこの状況を直ぐに理解し

夏の暑い日に冷たい汗が首筋を通ったのを覚えてます

わら人形を木に打ち付ける意味

そして

わら人形を木に打ち付ける時の最大のルール

そう、

絶対にその姿を誰にも見られてはならない…

脳内で状況を整理していたその時

老婆と目があい

sound:40

「見たな」

トンカチを片手に老婆が支離滅裂な雄叫びをあげながら急ぎ足で向かってくる

「逃げるぞ」

友人の腕をひっぱり来た道をひたすら走りました

トキを連れていた友人が走りにくそうだったので

「とりあえずトキは置いていけ」

この判断が正しかったかはわからないが今は1秒でも早く街まで戻る事が優先

「わかった」

友人はリードを手放し速度を上げ走りました。

住宅街まで逃げきり人目の無い場所で落ちつき

「やった、逃げ切った」

スリルから解放された3人の高笑い

「でもトキはどうしよう?」

「トキは大丈夫だろう」

そこで私はミスに気づいた

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「ヤバい。名札落としてしまった」

【南山小学校 太田まさき】

ガムシャラに走り、Tシャツに安全ピンで付けていた名札が消えていた。

「まさき、どうすんの?」

「今日は帰ろ…あの基地にはしばらく近づくのはやめよう」

そう約束し、安堵感と疲労でお腹も減っていたのでこの日は帰る事にした。

何事もなく3日が過ぎた日の事でした。

朝、学校に到着すると女生徒が

「昨日の帰りに校門でおばあちゃんみたいな人が、まさき君の事探してたよ…」

えっ!

「5年2組の太田まさき君呼んで来てもらえる?って皆んなに声かけてたよ」

マズい。絶対あの老婆だ、どうしよ…

名札を拾われ私を探してるに違いない

下校時、そっと校門の様子を見にいくと

「太田まさき君はまだ教室にいた?」

間違いない…

あのジャージはあの時の老婆だ

右手には舌を出しどこか不安げなトキが繋がっていた

すぐに引き返し裏口から帰宅

帰宅後すぐに友人2人に電話。老婆が下校時に私を探してる事実を伝え、2人にも注意するよう伝え電話を切った。

その日から4日連続、老婆は下校時を狙い校門にあらわれた

すぐに諦め、来なくなると私は思っていた

不気味な笑みとテンションで子供たちに声をかける老婆。

あきらかに目がおかしい

今でもあの目は忘れられない

翌日の朝に担任に呼ばれ

「最近、まさき君の事を変なおばさんが探してるんだけどあの人は誰?」

生徒の中でも噂になり担任の耳にも入ったのだろう

私は正直に基地の事、老婆を見た時の事など素直に話した

放課後、裏門から帰宅

担任から連絡があったのだろう母から老婆の事を聞かれた

母にも正直に全てを話した

翌日は日曜日、家族で大型ショッピングセンターに行く準備をしてる時だった。

母が私の部屋に来て

「まさき、玄関の前で犬が死んでる…」

すぐに玄関に走った

そこで横になってた犬はトキだった

すぐ母に警察を呼ぶように伝える

友人2人にもトキの事を電話で伝えた

悲しみより恐怖がはるかに上回っていた

30分後に警察が自宅に来て母と共に事情を説明した

その2日後、放課後の校門で老婆は警察に連行された

パトカーのサイレンで生徒や近所の人の野次馬

隙間から私は恐る恐る様子を伺った

「あのガキどこじゃ!完璧にできとったのに!許さんけの!」

そう言い残しパトカーに乗り込んだ

【赤池かずみ 54歳】

母からその後聞きました

逮捕後の検査で覚醒剤の反応があったそうです

過去に覚醒剤で2度逮捕されてました

とても54歳には見えない程に老けていたのは薬のせいなのか…

その後、私は中学に進学

自分の身は自分で守りたい、と強く思い柔道部に入部

中学2年の夏の大会で骨折をし入院する事になった

半月の入院生活の始まり

入院生活2日目、横になりTVを見ていた

清掃のおばさんが掃除をしていた時に枕上の僕のネームプレートを見て

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「太田まさき…おった」

ふと、清掃のおばさんの顔に目線をズラすと

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「わら人形見とったやろ?」

あの時のように冷たい汗が首筋を通った

Concrete
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この話、前に他の方が書いてますよね?

返信

「危険な好奇心」にそっくりな話ですね。

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