夜、学校の帰りが以上に遅くなってしまった日のこと。部活だった。
いつもはもっと早くに終わるはずだったのだが、先生が職員室に言った隙にバスケのボールに乗っかって「オットセイが通りまーす!」とか
「バスケがしたいんじゃこの野郎!」とかいって
何個もバスケットボールを取り出しては遊んでた。
そしたら案の定怒られて、遊んでた罰として体育館の掃除をいつも以上にやらされた。
帰る頃には七時半だったのを覚えてる。
皆とは帰り道が一人だけ違ったので、ただ真剣に走って帰ることを考えてた。
暫く走ってたら目の前の十字路に差し掛かった時に
遠くから、ザッザッザって感じで足音が聞こえ始めた。
すごい大勢歩いているみたいで近くにいくと、なんかの祭りの日見たいに人の気配がした。
でも人は見えない。
「なんだろ?」
少し不安に思い、違う道から帰るかな?
とか考えてる内に十字路を通りすぎた。
段々足音に近づいていくにつれて、鈴の音も微かに聞こえ始めた。
「この時期に祭りなんてないよな?」
と目の前の暗い通りを見てた。風景は、ただの一本道を表している。
その途端に耳元で「お前の貰おうか」と言われた。その直後身体が動かなくなり、勝手に体育座りをしていた。
その座ってる回りを黒い影が囲い始める。
目の前で起こってることにただただ見てるだけしか出来ない自分は、涙をだらだら流して多分、間抜けな顔をしていたに違いない。
そんな中でも足音は止まない、鈴の音もうるさいくらい聞こえる。
回りの黒い影から「頭とって喰おか」とか「足とって売ろか」と聞こえ始めたとき、恐怖のあまりオシッコを漏らしてしまったのを感じた。
そしたら途端に、足音は止まり鈴の音も止まり
回りの黒い影もいつのまにかいなくなっていた。
呆気にとられて、何がなんだか分からない。
疑問と恐怖がせめぎあいを続けてる中、
遠くから微かに「ワタは危険だ食っちゃなね」
と聞こえた。
後で調べたら、そこは昔山があったと言う。
それしかわからなかったけど、あの黒い影から聞こえた「ワタ」は「腸」なんじゃないかと思った。
作者瓦の後ろ
夜中は変な想像をして、歩くだけでもスリルを感じる。