通ってた中学の体育館には変なのがいた。
白い服の何か。
部活中、先生が入ってきたら挨拶するのがルールなんだが、「あ、誰か入ってきたな」と思って挨拶したら誰もいないことは多々。
バスケ部が使ってた地下通路とバレー部の更衣室にも、気付くといる白い服の誰かは現れたらしい。
意識すると消える何かだった。無意識に視界の端にいる感じの。別に怖くはなかった。
だけど一度だけ、ぞっとしたことがある。
土曜日。部室終わり。
夏だったからだろう。誰が言い出したか、部室で怖い話大会を行うことになった。
部員は八人いて、内一人は話すのが苦手な子だったから、七人が一つずつ。
話している間、聞いている間は、ぞわぞわしながら、怖いねーって言ってた。でもまあ、怖い雰囲気を楽しんでる感じ。
みんな話し終えた時、その頃師匠シリーズにハマっていた私は「せっかくだから、このまま指差しゲームをしよう」と言った。
幽霊がいそうなところを指差すだけのゲーム。
私以外みんな知らなかったし、まあお話みたいに、最後には全員上手く揃うなんてことなかろうと思った。
結論から言うと、最初で揃った。
私はゲームを唯一知っていたから、みんなに目を瞑ってもらって、自分だけ開けていた。
それでも差した方が面白いだろうと、みんなが決める前に、ふざけて自分の後ろを差しておいた。
「じゃあ行くよ。せーの」
掛け声に合わせてみんなが指を差した先は私の後ろだった。
一瞬ドッキリかと思った。でも、ゲームを提案したのは私で、みんなは初めてで、誰も席を外すこともなかったから、打ち合わせをすることも出来ない。
みんな、自分の荷物を掴んで、慌てて部室から逃げた。「怖かったねー」とおどけた風にしながら体育館を出た。
そのうち一人が、部室の方を見て「あ」と声を上げた。
「カーテンが開いてる」
それを聞いて、一番初めに、雰囲気を出すためにカーテンを閉め切っていたのを思い出した。
全開じゃなくて、外を見るのに丁度よさそうだなってくらいに開かれていたから余計に怖かった。
作者佐藤
実話