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中編3
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からりこさん

ああ、よく来てくださいましたね。

今からする話は まだ私が幼く若いときに、わたしの親友が体験した話なんですよ。

今から60年ほど前に、地元の小学校に通っていたんですよ

その小学校にはね 私の親友の真理子ちゃんがいたんです。

えぇ、真理子ちゃんはお金持ちのお家の子でね。父さんも母さんも優しい人だったわ。

可愛くて、少し内向的だけど明るい子だったわ。

でもね、真理子ちゃんのお家のご両親がある日突然居なくなってしまったみたいでね…

私も親切にしてもらっていたから、悲しくて…何日も何日も真理子ちゃんと探して回ったわ。

結局、真理子ちゃんのご両親は見つからなくて…真理子ちゃんが相当落ち込んでいたのよ。

私は真理子ちゃんが笑顔になれる方法を探したわ

何日も何日も探して探して…やっとある方法で見つけられることに気づいたわ。

それは…私達の住んでいる地方特有の降霊術でね、からりこさんって言うのよ。

からりこさんは赤い下駄に探したい人の名前を赤いペンで足の裏の当たる部分に書くの。

そして自分の血を三滴垂らし、床に赤いペンで書いた大きな目の上に置くのよ。

そして、片手を前に…下駄にかざすように前に出してね、からりこさんからりこさん 私の願いを聞き届けてくださいってお願いするの。

下駄が一歩前に出ればからりこさんが来てくださっている証拠よ。

落ち着いて探したい人の名前を言って、どうか行き先を教えてくださいって言うの。

あとはからりこさんに付いていけば行き先がわかるの。

でもね、からりこさんには必ず守らなきゃいけないルールがあるのよ?

一つは、からりこさんが欲しがるものを必ず持って来ないといけないの。からりこさんが欲しがるものを持っていないと、命を取られてしまうの。

二つめは、からりこさんにお帰り頂くための呪文があるのよ。からりこさんからりこさん、ありがとうございました。どうぞお帰りくださいってね。

あ、これは塩水を飲んだ状態でやらないといけないわ。

それと、必ずからりこさんは一人でやらなきゃいけないの。

だから真理子ちゃんが一人でやったみたいなんだけどね、その日から真理子ちゃん…姿を現さなくなってね…

あれからずっとずっと探しているんだけど、みつからないのよ…真理子ちゃんもからりこさんに使った下駄も、真理子ちゃんの両親も…。

ふふ、怖かった?おばあちゃんのお話に付き合ってくれてありがとうね。

ああ、そうそう…ひとつ話すのを忘れていたわ。

もう歳かしらね…

からりこさんには決して名前を教えてはいけないの。からりこさんが追いかけて来てしまうのよ?

さあ…もうお帰りなさい。

あ、最後にあなたのお名前…聞かせてくれるかしら?

ふふ、おばあちゃんのお友達のお名前は覚えておきたいからね。

じゃあ、またね。おばあちゃんのお話を聞いてくれてありがとうね。

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ふふ、見付からないわよねぇ…だって、私が…

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老婆は気味悪く笑みを顔に張り付けたまま宵闇の中に姿を消した。

end

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