短編2
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覗き見

「くぅ~トイレ行きてぇ」

俺は帰路を急ぎながらそう言い放った、しかし家までは後数十分は掛かる

どうしたものかと考えた時に運が良く公園のトイレを見つけた

しかし俺は入るのを躊躇した、なぜなら残業のお陰で23時を回っていたからだ

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誰から見ても分かるようにそのトイレには今にも切れそうな蛍光灯が一本だけ...

ヤンキー達が捨てたのであろう煙草の吸殻に酒の缶がちらほらと見える

不気味というのもあったがヤンキー達が絡んで来て身ぐるみ剥がされる方が末恐ろしい

shake

そのまま素通りしようと思った時、まるで引き寄せられるように腹の痛みが強くなっていく

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「ッく!もうつべこべ言ってらんねぇな、気分転換させながら用足すか...」

俺はトイレに入った後好きな音楽を流して気持ちを落ち着かせた

お腹が軽くなりこれで急がなくても良いと感じ手を洗い清々しく外に出た

しかし俺は街頭の下にいる人を見て硬直してしまった

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music:2

普通の人なら硬直しない筈だ、だがあれは普通の人ではなかった

体は二本足で立っている人だが問題は首から上だ

その首は街頭についている棒まで伸びていて顔の形もおかしい

目は拳一つ分の大きさで鼻は無くなっていた、それもそのはずだ、口が鼻を奪ってまで縦に開いていた

その口はとてつもないほどの笑顔だった、歯は噛み締めあっているが大きい

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俺は背中にじっとりと嫌な汗を感じながらゆっくりと後ろに下がり他の家の裏を通り、遠回りして帰った

家に着き俺は服を脱いですぐシャワーを浴びた、さっきの奴はいったい何者だろうかと考えたがその考えは汗とお湯で流された

浴室から出てお茶を片手にパンツで居間に近づいた

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嫌な予感がして一応チェーンを掛けた、ふと何気なく覗き穴を覗いてみた

何故あのとき覗いてしまったのかは謎だった

先程の異形の人が立っていたのだ、自分と相手は目があっている状態

またしても嫌な汗が背中を伝っていき、動けなくなっていた

自分の意思では動けと命令しているのだが一向に体が石の様に固まっているのだ

体は正直だ俺は恐怖で体が動けなくなってしまっていた

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そして異形の人が大きな口を静かにゆっくりと開けて言い放った

「やっと覗けた」

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