僕が体験した話
田舎の山に住んでいる僕は時々山を散歩する趣味があった。
特に晴れた日の夕方の4時ぐらいに歩くと木々の間から夕陽の光が漏れてとても綺麗なので、お気に入りのコースを作りよく散歩していた。
ある日お気に入りのコースから少し外れた所に獣道を見つけた。
新しいコースを見つけるチャンスと思い僕はその獣道を歩いて行った。
獣道を歩いて少しすると開けた場所にでた。
そこもまた夕陽の光が綺麗だったので、これはいい場所を見つけた!と喜んでいた。
もう少し歩いてから戻ろうと思いさらに奥に進んでいくと、一軒のプレハブ小屋を見つけた。
こんなところにプレハブ小屋があるとは思わず、好奇心からその小屋をのぞいて見ることにした。
外見はまさに普通のプレハブ小屋で特にこれといった特徴は無かったが、気になるところがいくつかあった。
まず、窓には網戸が付いていなかった、そして窓が完全に開いていた。
窓にはカーテンも無く、部屋の中がまる見えだった。
少しのぞいて見ると人はおらず、中はゴミだらけ、空のペットボトルがいくつも転がっており、ゴミの入ったコンビニ袋がそこかしこに散らばっていた。
壁は一面カビだらけで、作業用と思われる机と布団があった。
気になった自分はさらに身を乗り出して中をのぞいて見ると、布団の上にロープがあるのを見つけてしまった。
ちょうど輪っかが作られていて、まさに自殺するために作ったとしか思えないようなロープだった。
電気はついておらず、電線も見当たらない。
不気味に思いながら僕はその小屋から離れようとした。
すると。
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ガサッガサガサ
という音が聞こえた。
驚いて後ろを振り向くと、なんとさっきまで開いていた窓が全て閉まっていた。
僕は驚いてその場に固まっていると、突然。
ガチャッ、キィー
という音ともに扉が少しだけ開いた。
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僕が完全に恐怖で動けないでいると、その扉の隙間からニュッと男の顔が出てきた。
その顔は真っ白でやつれており、目も濁っていた。
その顔はこちら見つめており、僕は目をつぶることもできずつい見つめかえしてしまった。
しばらく見つめあっていると、男の顔はスーッと扉の奥に引っ込んでいった。
それと同時に扉もパタリと閉まり、僕は一目散に山を下りて行った。
家に戻り布団に潜って震えていると、友達から連絡がきた。
明日遊びに来る予定で、もう一人連れてくるとのことだった。
僕はあの顔が忘れられず、一緒に山を散歩しないか?と友達に連絡を送った。
三人もいればおそらく大丈夫という謎の自信から、もう一度あのプレハブ小屋を調べようという気持ちもあった。
翌日二人の友達と一緒にあのプレハブ小屋の場所に向かった。
獣道を歩いてしばらくすると例のプレハブ小屋が見えてきた。
しかし、そのプレハブ小屋は昨日と違い、窓は全部取り外されており、ドアも付いていなかった。
僕が驚いていると友達の一人がその小屋に近づいていき、「へー、こんな山奥にプレハブ小屋なんてあったんだ」と言い、カメラを構えて写真を何枚か撮った。
僕は驚きつつも小屋の中をのぞいて見ると、なぜか山のようにあったゴミが全て無くなっていた。
壁一面のカビと机に布団、そしてなぜかロープだけが残っていた。
友達二人もそのロープを見つけると、驚いた様子でその小屋から後ずさりした。
その後、家に戻り「さっきの小屋不気味だったなー」などと話していると。
「そういえばさっき写真撮ってたよね?見てみようぜ」と言い三人でその写真を見てみると
「うわっ」と声をだしてしまった。
その写真に写っていた小屋は窓も扉も全て付いていたのだ、僕が昨日見たのと同じ状態だった。
友達は「おい、この小屋って扉も窓も無かったよな、なんで付いてるんだ?」と言い次の写真を見てみると。
「うわあ!」と叫びカメラを落としてしまった。
その写真を見てみると、なんとほんの少しだが扉が開いていたのだ。
次の写真も見てみると、扉はさらに開いていた。
友達は「おいおい、これやばいって、なんでどんどん開いてるんだよ」と言い次の写真を見ようとするが、咄嗟に僕がその友達の腕を掴み「次の写真は見ないほうがいい」と言った。
友達は当然「なんで見ちゃダメなんだよ」と聞いてきたので、僕は昨日あった出来事を友達二人に話した。
話を聞いているうちに二人の顔はどんどん青ざめていき、一緒にお祓いにいくことにした。
撮った写真はすべて削除し、その後ゲームで遊んだあとその日は解散し、それぞれの家に帰っていった。
あまりに恐ろしい出来事で、その日の夜はあまり眠れなかった。
今でも僕は山を散歩するが、その小屋があった方向には絶対行かないようにしている。
友達二人は山に入るのすら嫌になったようで、遊ぶときもその山には絶対行かないようにしている。
作者金目
またふらりと戻ってきました。
そのうちまたふらっといなくなると思います。
今回の話は実家の山を見て思いついた話です。