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中編3
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Skype

Skypeという通信手段をご存知だろうか?

私も名前くらいは聞いたことがあったが、使用したことはなかった。

使用しなくても困ることなど皆無だったからだ。

さて、友人にAというやつがいる。

一言でこいつを表現すると「オタク」だ。飲みや遊びに誘っても絶対行かないし、買い物は基本インターネット・・・。外に出たのを見たことはないが、コンビニで弁当を買うことくらいはあるかもしれない。

でも、いわゆるアフィリエイトというのだろうか?インターネットゲームの攻略やアニメの情報などのブログを書いて生活していて、収入はそこそこあるようではあった。

私はアニメも見ないし、ゲームもしない。こんな私がなぜ彼と付き合いがあるのかというと、不動産部門立ち上げ当初にホームページを作成したかったのだが、業者に頼めば高くなるし、自分で作成しようと考えた。

そこで、頼ったのがオタクと普通の人(と書くとオタクの人に失礼だが、他に表現方法が見当たらなかった為・・・。)の中間くらいに位置する前職場の後輩だ。

この後輩から彼を教えてもらい、ホームページの作り方を教えてもらった。今思えば、とても格安で教えてもらったと思っている。

それでもやはり私は素人なので、ホームページ更新の際等に行き詰まると彼を訪ねた。

ある時、彼から相談された。

「〇〇さん、好きな人がいるんですが、どうしたらいいですか?」

抽象的すぎたので分かりにくくはあったが、私は彼の相談に乗ってあげた。

なんでもその女性とは外国の女性で、インターネットで知り合ったらしく、Skypeでやり取りを続けているとのこと。

外国では日本のアニメはすごく人気があると聞くし、オタクの人がモテても不思議ではない。だが、今まで女性と付き合ったことがないAさんにとっては女性と話すのがキラキラした未知の世界だったのかもしれない。

一度やり取りを聞いて、脈があるか否かを判断してほしい。と言われた。

人のプライバシーを覗くみたいでイヤだったが、どうしても!と聞かないので、やり取りを聞くことにした。だが、段々要求が増してきて、仕舞いにはなんて返せばいいのかを指示してほしい。とカンペ役みたいなものまでさせられた。

最初はカタコトの日本語だったが本当に会話も弾み、楽しそうに話していたが、回数を重ねるごとに彼女は変わっていった。日本語がうまくなったのもあるが、それとは別に黒い何かをため込んでいるんじゃないか?と私は思っていた。・・・だが、その正体が分からない。友人を詐欺にかけようなんて思っている感じでもない。

Aはそれに気付いていない。気付いていないというより、変わっても構わないといった感じだ。私はそのうち彼女は鬱なんじゃないかな?と思い始めた。毎回立ち会っていた訳ではないが、そう感じ始めていた。

私も仕事に追われて、なかなかその異次元空間に身を寄せることが出来なくなっていたある時、「これが最後だから・・・。」と言われて、しょうがなく伺ったことがある。

伺ってはじめて最後の意味が分かった。

やり取りをしているものとは別なモニターで見ると、彼女は全身に切り傷があった。

そして、「ありがとう。」と言ったかと思うと、ナイフを自分に突き刺したのだ。

もだえ苦しむ彼女・・・。これが現実世界だと、気付くのに数秒はかかった。

「警察!救急車!」

私は叫んだが、Aは茫然と普通の顔でその光景を見ている。まるで、私の声など聞こえていない。

そして、私は悟った。モニターの向こうは海外だ。どうすることも出来ない・・・。

Aは彼女が自殺したのがショックで茫然としているのか、ある程度予測していたのか、その光景にも惹かれていたのかは分からない。

だが、私は耐えれなくなり外に出ても、こちらを見るそぶりさえしなかった。そして私はそのまま帰宅した。

後日、前職の後輩から連絡が入った。

「Aさんが、亡くなりました・・・。」

「そうか。ナイフを自分に突き刺したんだろ?」

後輩は私が言い当てたことに驚いていた。

Concrete
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