カラスが帰っても遊ぶ子供がいる
五虫が鳴き出しても遊び続ける
目で子供たちを追えば、隙が見える
かえりなさい。言うけれど、子供たちは聞かない
ごめんなさいと、いつか子供たちは言うだろう
目を閉じて、耳を塞ぐだろう
籠の中に入れてやれ
ののちゃん、どうしよう、と女の子は言う。籠の
中では、外に声は届かない
ののちゃんとやらは泣き出し、つられて鳴き出す
鳥たち
歯をかちかち言わせる子供。怖がっているのだ
いつかえれるの? かえりたいよ… 子供の呟き
つま先で籠を蹴った。途端に叫ぶ子供たち
威勢のいい子供だ、とぼやく
つめたい笑みを見せてやる
出られる保証なんてない、帰らないから悪い
やっとの思いで生きているーーその表現が似合う
るつぼの中にでも入れてやろうか?
夜が明ける前に楽にしてやろうか?
明日が来ないようにしてやろうか?
蹴った籠は揺れるが、壊れはしない
ののちゃんとやらは子供たちに頼られてばかりだ
晩が終わってしまう前には、それは終わる
にじんだ涙はこの世には残らない
鶴を籠に入れてやる
止まったまま動かない鶴は折り紙だ
亀も籠に入れてやる
止まったまま動かない亀は折り紙だ
滑っていく折り鶴は動いている。その光景を怖がった子供たちは泣き叫び、お互いを抱く
ただ動いているだけさ、何を怖がっている
後ろに忍び寄る影には気がつかないくせに
路頭に迷った奴らが近づく
呑み込んでいなくなってしまうつもりだ
正しいのは"奴ら"か、子供たちか
面をつけた化け物は子供を襲う
だれも助けはしない
あいつらはだれも助けない
レースで籠を覆ってやれ、何も見えないように
作者アルセーヌ
ちょっとした仕掛けが一文字めに……