そんなある日、友達と学校から帰宅しようとしたS君がふと旧校舎を見てみると、また3階端の教室からあの女の子が見ていた。
「よし!今日こそあの子に会いにいってみよう!!」
絶対に止めた方が良いという友達の忠告も聞かず、S君は一人旧校舎へと入っていった。
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立ち入り禁止と言われているものの、旧校舎への侵入は皆が経験していた。裏の入口から侵入できるのだ。
しかし2階や3階へ踏み入ったという人は今までに聞いたことがない。
S君はギシギシ音をたてる階段をのぼって、3階端の教室まで向かった。
辿り着いた教室のドアを引くと、中は物置場のようになっていた。埃が積もった机や椅子が所狭しと重ねて並べられている。
そしてその窓際に、女の子が肘を窓枠へ乗せて立っていた。
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「本当にいた!」と一瞬心を躍らせたものの、明らかな異変にS君は気付いた。
女の子は腰まで長い髪が伸びていたのだが、そこから下の下半身がなかったのだ。
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「これは…マズい…!」
S君はそう思ったものの、恐怖で体が思うように動かない。すると女の子の首だけがゆっくりと後ろへ回りはじめた。
首を真後ろに向けた女の子の顔は青白くボロボロで、目には穴だけがあり、口は耳まで裂けていて人間ではなかった。
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「うわぁぁーーーー!!!」
悲鳴をあげてS君が後ろへ尻もちをつくと、その女の子は肘をかけていた窓際からトカゲのように這って近づいてきた。
S君はとにかく夢中で逃げて階段を転げ落ち、全速力で旧校舎の出口へ突っ走った。
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旧校舎の裏には、S君の帰りを友人達が心配して待っていた。
するとそこに血だらけになったS君が飛び出してきて
「ヤバい!ヤバい!!」
と大声で叫びパニック状態に陥っていた。
訳のわからない友人達が「どうした!S!?」と尋ねるものの、S君は「あ~~!!」と大声をあげて泣き叫ぶばかりなので、急いで職員室へと担ぎ込まれた。
職員室でも取り乱しているS君をみて、先生たちは開口一番に
「まさか旧校舎に入ったのか?!」
と尋ね、友人たちが「そうです」と答えるなり数人で旧校舎の方へと向かっていった。
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その後、S君は階段から転げ落ちたため体のあちこちを縫う怪我をしたものの、なんとか回復した。
旧校舎は先生たちによって厳重に封印され、どこからも侵入できないようになってしまった。
こんな事件が起きたのに、先生たちに詳細を聴いてみても「旧校舎には近寄らないように」の一点張りで何も教えてくれない。
S君はすっかり懲りたのか、その日見たというお化けの話はしてくれるものの、旧校舎には近寄るどころか視界にも入れないようになっていた。
先生も協力して、S君にだけは校庭で体育の授業をさせないという特別措置を取っているところを見ると、かなりヤバい事になっているのは間違いないのだろう。
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そしてこの話をS君から聞いた人達は、なぜか頻繁に旧校舎の3階端教室にいる女の子のお化けを目にするようになった。
以前はS君がいなければ見れなかったはずなのに…。
作者kakadoll