短編2
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呟怖

第1話「おじい」

親父が死んだ。癌で亡くなった親父は、孫である娘を溺愛していた。あまりの溺愛ぶりに、妻が心配する程だ。

そんなある日、娘がこういった。

おじいが夢に出てきたの。

おじいは何か言ってた?

俺がそう聞くと娘は、困った顔で言った。

迎えに来るねって。

今日は、親父の49日だ……。

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第2話「見廻り」

病院のベッド、寝付けない。部屋にチラつく明かり見廻りだ。起きてますか?と女の声。布団を被り狸寝入り。が、突然布団の上から押さえつけられた。思わず声を上げようとした瞬間耳元で、生きてますかぁ!?気を失った俺は朝、看護婦に昨夜の事を尋ねた。昨日の見回りは男性看護師だった。

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第3話「五人囃子」

灯りをつけましょぼんぼりに、お花をあげましょ桃の花、五─ふと違和感を感じた。4、5…五人囃子が1体多い、6体ある。なぜかそれだけ真新しい。弟の顔に凄く良く似ている。そういえば、今朝から弟の顔を見てない。昨日私にお雛様を投げつけてきたから、弟とは今喧嘩中だ。胸騒ぎがする

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第4話「鯛のお頭」

今日は鯛のお頭付きの味噌汁だ。私はこれが大好物で、特に目玉が美味しい。栄養も豊富だ。箸でそっと摘み口に運ぶ。が、次の瞬間、箸が止まった。白く濁った目玉に、黒い瞳が浮かんだかと思うと、その瞳がこちらをじっと見つめてきたのだ。ビクリとし、思わず箸から目玉がこぼれ落ちた。

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第5話「母」

全く、あんな人死ねばいいのに!台所で野菜を乱暴に刻みながら母が言った。その母を横目で見ていた俺は1人俯く。先程から震えが止まらない。姿形、声も母だ。でも、今しがた俺のスマホに届いたメール、母からだった。今日は残業で遅くなります。母だけど母ではない何かが、そこにいる。

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第6話「飴ちゃん」

飴ちゃんあげる。古典的な大阪のおばちゃん。私はそれに首を降ってみせた。チッ、舌打ちし、おばちゃんは去っていった。

10年後、私は成人式を迎えたが、双子だった妹は迎えることができなかった。突然死だったらしい。あの飴を食べて直ぐ、一緒にいた妹は家に帰る途中で亡くなった。

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