弱肉強食

　ある深い森の中に、一人の男の子が住んでいました。彼は草食で、毎日木の実や下草を食べて生きていました。

　その森の中にある一つの湖のほとりには、一人の女の子が住んでいました。

彼女は肉食で、毎日湖を泳ぐ魚を捕って食べていました。

ある日二人は森の中でバッタリ出会ってしまいました。

男の子は、女の子の口周りにベットリとついた血糊を見て、

『こいつは肉食だ』

と悟りました。

一方女の子は、男の子を見た瞬間から

『こいつはうまそうな奴がいたもんだ』

と舌舐めずりしていました。

二人は数秒睨みあった後、ついに女の子の方が男の子に飛び掛かりました。

男の子は、食われてなるものかっ、と女の子に拳を一発食らわせました。

筋力の差で劣る女の子は、よろめきその場に倒れました。

その隙に男の子は地面の土を蹴り上げ、立ち上がろうとした女の子の顔面にぶっかけて逃走！

土をかけられた女の子は、数秒間四つん這いでうつむいたままウゥ～と唸りながら、その場に静止・・・・・

そしてようやく顔をあげたときには、

女の子の目は、土と怒りで恐ろしいほどに充血！！

怒り心頭！

血走ったその眼で前方をキッと睨めつけ、牙をむいたそいつは再び走り出した！

草食男子の運命やいかに！？

―つづく―

怖い話投稿：ホラーテラー　匿名さん