まあ、そんな事があって以来、歯医者に行く度、ちょくちょく店の外から中を覗いたりしていた。
ヒト気のない様子は、相変わらずの様だった。
4回程歯医者に通い、銀歯が付くと、治療もようやく終りだ。
治療の後、先生に、通りの古い商店の話題をふってみた。
「あぁ、あの店は昔からずーっとあのままだなぁ
昔はよくお菓子なんか買ったんだけどねぇ
君が産まれる前に、色々あって潰れちゃったんだ。」
ふーーん?
何か違和感がする。
先生の思い描く店の像と私の像は違っている気がした。
私が府に落ちない顔になっていたのか、先生は渋々と続けた。
「いやねぇ
20年位前かな、事件があったんだ、殺人事件
昔あそこで万引きした子供が、店のおじさんに見つかってねぇ
おじさん、その子殺しちゃたんだよ
酷い事件でさぁ
おじさんも元々変な人だったんだけど、儲からない腹いせだったのかねぇ
近所の子が店先に煎餅持って呼んでるのに、出て行かずにね
子供が万引きするまで、隠れて見てたっていう話だよ
会計台の下にしゃがんでね。
終わり
怖い話投稿:ホラーテラー ハミーポッポーさん
作者怖話