Jとコンビニで待ってると、上から下りて来たシャコタンが次々集まってきて、その中にTのKPもあった。
Tは車から降りるなり、俺のところにきて『おいっ!足っ!左足!大丈夫かっ!』って。『いや、足なんか全然何とも無いって、それよりさっきな、上でよっ!』勢い込んでしゃべる俺にTは『今日はこれで解散しよっ、まあ見たところ平気みたいだしよっ。』と言って自分の車に向かって歩いてった。
俺は、なんか拍子抜けして、上で見たあいつはよく聞く地縛霊みたいなもんかなと思ってその日は皆と別れて自分のマンションに帰ったんだ。
で、次の日の朝起きて顔洗ってさ、冷蔵庫から缶コーヒー出してタバコくわえながらカウンターの上に置いた自分のメット見て固まったよ…
俺のメットには当時、流行ってた二本出しのツノを付けてた。FRPのナンチャッテなディフューザー。
それが無い。メットから無理矢理引っぺがしたみたいに無くなってる。しかもシールドの上側半分が火であぶられた様に熔けてる。『マジかよ…』そん時何故か俺は冷静にTの携帯に連絡した。
『T寝てたか?悪ぃな朝っぱらから。昨日さ下りの道で何か見たか?』
『どうした?あの後なんかあったか?』
『つうか、今俺の前に信じられん物がある…メットがな何か訳分からん状態だわ…』
『…あのな、S(俺)実は昨日見たんだわ、おまえが下りの右コーナーに入ってく時に何かがおまえの左足にしがみつきながら後ろ走ってる俺のほう振向いたんさ…』
『そいつ笑ってた…実は上でバラける時に単車に向かうSの後ろからカチャカチャ変な音がしてんのに気付いてな、俺が振り返ったらボロボロの格好した兵隊みたいのが刀引きずって歩いてんのがしばらく見えて消えたんだよ。
俺、わりと見えるらしくてさ。それでコンビニで待ってろって言ったんさ。』
『マジですか…?じゃあ昨日見たあいつは兵隊の幽霊…?つうか俺ヤバイ事になってないの?』
『多分大丈夫だよ。コンビニで会った時は何も見えなかったし、左足も平気だろ?忘れたほうがイイって。
実はあの場所な、昔戦争ん時に真っ先に軍に放棄された飛行場の跡なんさ、アメリカの船が海から大砲やらなんやら、でーじ撃ち込んであっさり占領されたんさ。日本人の軍人は皆な南部に逃げてたからな。
あんな場所には俺ら島の人間しか集まらん。そこにナイチャーのSが来たから何か悪さしようとしたんかもしれんな…』
この出来事の後、俺はTと仲良くなり、今でも飲み仲間です。沖縄にいた四年の間に俺はこのT絡みで体験した出来事で幽霊を信じる様になります。
ほかにもいくつか不思議な体験をしましたが、それはまた別の機会にカキコミします。
長々と読んでくれた方々、ありがとうございます。
怖い話投稿:ホラーテラー シルバースターさん
作者怖話