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短編1
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歯を磨きたくない

「愛佳!あんた最近、ちゃんと歯を磨いてる?虫歯になってからじゃ遅いんだからね。中学生にもなってそんなこと言わさないでよ。」

毎日オカンにウザイくらい言われるこのセリフ。別に歯を磨くのが面倒くさいわけじゃない。

磨くのが怖い。

歯を磨く。そしてうがいをする。

誰もが毎日当たり前のようにする日常生活の1ページ。

最初は歯茎から出血したのかと思った。でも違った。

歯を磨いてうがいをするために口に水を含んだ時、口の中で血の味が充満する時がある。

鉄臭い、生臭いにおい。

最初はビックリしてすぐ吐き出していた。でも口から出てくるのは透明の水。

無色透明で、何も臭わない普通の水。

また口に水を含む。

また口の中で充満する血の臭い。

わたしにとって、それが恐怖ではない。

その後にうがいをするために上を向いたとき、

天井に張り付いた髪の長い女の生首が目を見開いて私を見ているんです。

何も言わない。

でもわたしを睨みつける。

叫びたい。でも、その時に限って声が殺されてしまう。

この女を見ないように目を瞑(つむ)る。

目を瞑ったときは、笑い声が聞こえてくる。

その声は目を瞑ったわたしの顔の目の前で笑っているのがわかる。

口の中で血の味がする時、決まってその女が現れる。

「・・・・」

また今日も、血の味がする。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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