金縛りだ。
重い。苦しい。動けない。
今は深夜2時を回った頃だろうか。
目を開けたくても開けられない。
俺は確かに目覚めているのに。
声も上げられず、ただ何かにのしかかられたような重みを感じながら、
俺は少しでも動いてやろうと力を入れる。
声だけでも出せれば、いずれは金縛りから解放されるのだが。
ようやく、うめき声にも似た声を出す事ができた。
そしてまぶたも少しずつ開いていく。
俺は目を疑った。
乱れ髪の老婆が、俺の上に乗っているではないか。
両腕で俺の方を押さえつけ、凄まじい形相で俺を睨みつけている。
俺はこんな老婆を知らない。
なぜ俺を怨んでいるのだ!?
「南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経」
俺はひたすらお経を詠んだ。
「南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経」
すると一瞬、老婆はのけぞったかと思いきや、
俺の耳元まで口先を近づけ、こう言った。
「お経なんか詠んでも、無駄だよ」
怖い話投稿:ホラーテラー 伴 輝真さん
作者怖話