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短編2
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さくら

うちの亡くなった母は霊感があったらしい。

「らしい」と言うのは、私は見えないから母の能力が本物だと断言は出来ないからです。

そんな母から聞いた話。かなり前に聞いたので忘れてしまった部分もあるので、一部フィクションです。

母は霊感がある事を親しい友人にしか話していなかった。

簡単なお払いぐらいなら出来たらしいが、その事を商売にするつもりはなかった。

ある時、友人から「あなた霊が見えるって言ってたわよね?ちょっと私の知り合いの相談にのってくれないかしら?」と言われた。

最初は断ったが「何処に相談していいかわからず困ってる」と聞き「話だけなら…」と承諾した。

相談者のAさんは大きな純和風の家に住んでいた。

Aさんの話によると、毎夜Aさんの寝室に不気味な影が現れると言う。それが現れてから体調も良くない。どうすれば良いか判らずに困っていた。

母が寝室を見ると、確かにAさんが言う場所に何かの気配を感じた。母は集中する為に1人で部屋に残り、霊視をした。

現れたのは老人でした。

母「あなたは誰ですか?何故Aさんの家にいるのですか?」

老「ワシはこの家にあった桜の木じゃ。長年この家を護ってやったのに、あいつはワシを切り倒しよった!それが憎ぅて出てきたんじゃ」

母は驚いた。今まで人間や動物の霊は見た事があるが、植物の霊(精霊?)は初めてでした。

母「そうですか。お気持ちは判りますが、Aさんはあなたがいた事を知らなかったのです。どうか許していただけませんか?」

老「…わかった。ワシの話を聞いてくれる人間が来てくれて、少しは気が晴れた。Aにワシの気持ちを伝えてくれれば出るのは止めよう」

そう告げると老人は消えた。

母は応接室に戻るとAさんに桜の事を聞いた。確かに桜の木があったが、庭を造り変える時に邪魔になって切ってしまったそうだ。

なぜ桜の木の事を知っていたのか不思議そうなAさんに老人の話をした。

Aさんは桜の木の供養をすると約束したそうです。

もちろん、その夜から影は出なくなりました。

この話を聞いた時、母もまだ半信半疑で「本当に桜の木の精霊だったんだねぇ」と言ってました。

文才もない上に長文、失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 鳴門金時さん  

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