友人のAという女性が高校時代に体験したお話
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Aは当時実家で両親と暮らしていたのだが、その日は兄家族が実家に帰省する日であった。
Aの何よりもの楽しみは5才になる姪っ子に会うことで、3ヶ月置きほどで帰省しているとはいえ、その日も待ちきれずに到着する予定の10分ほど前から庭で待っていたんだそう。
ほどなく兄家族の車が駐車場に着き、後部座席からピョンと姪が飛び出してくるのが見えた。
兄夫婦は車内の荷物を整理しており、先に姪だけが、両手を大きく広げてAのもとに駆け寄ってくる。
「よく来たねー!今日はなにして遊ぶ?」
とAが聞くと、
「今日はねー!みんなでかくれんぼする!あとおままごともする!」
と両手を広げたまま元気よく姪が答えた。
ずっと両手を挙げてるもんだから、だっこしてほしいのかなと思い、Aが姪の腰に手をやって持ち上げようとすると、
「やー!」
と嫌がるという。
「嫌なの?じゃあなんで両手挙げてるの?」
と何気なくAが聞くと、
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「手あげてないよ?手繋いでるんだよ?」
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と両手を上にあげて姪っ子が答える。
「ねっ?」
と自身左右の虚空に向かって問いかける姪を見てAはゾッとした。
ある懸念と辻褄があってしまったのだ。
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3か月前に姪が実家に遊びに来た際、奇妙なことがあった。
Aと姪と兄の三人でかくれんぼをしていた時、Aは居間のこたつの中に隠れていたのだが、
隣の和室の方から
「ひしゃげさんたち、みーつけた!」
と姪の声がしたという。
何かの聞き間違えかな?と対して気に止めていなかったのだが、
また、次におままごとをしている時には、
「ワタシがママやるからみんなは子どもね!」
と配役を割り当てられ、姪がプラスチックの食事を振る舞ってくれたのだが、
Aの分と兄の分と、もう二人分
計四人分のご飯が食卓に並んでいたという。
…誰か居るのか?
と思わずにはいられなかった。
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今回のことで、確信した。
姪は、"ひしゃげさん"という二人の何かと常に一緒に居る。
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Aは恐ろしくなり、それから12年経つが未だに姪とはまともに会う事ができなくなってしまったそうです。
作者犬々