中編3
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何かが憑いてる

現在進行形なんですが…

私の会社は昨年12月に事務所を移転し、事業拡大した。

それまでの私は、今の会社を存続させる為女一人で支えており、今の所在の会社より車で5分程しか離れてない場所に以前事務所を構えていた。

前事務所は、近所のおばさんらから「あんたのとこ、若いのにようこんなとこ借りたよね?恐いことない?」等変なことを聞いて来るようになった。

「ここの前の人ね、ご主人が自殺してね。それでもって奥さんは納骨せず、ずっとここに引っ越すまでお骨置いてたんだわ」と言うおばさん。

やめてよね。私は霊感を鋭く感じる方なんだから…

そう思う毎日で仕事しながら過ごしていた。

仕事が忙しくなって、少しの間パートで来てくれる子が居てくれたから幾分怖さも和らいでいた。

夏に台風が近づいて来て、雨風が酷くなって来そうな中、小さいお子さんをもっていたパートさんは先早に帰宅した。

私は一人仕事を終わらせる為残って仕事をしていると

パタパタパタパタ

っとスリッパを履いて二階の部分を歩く足音が聞こえる。

「何なの、今の…」っと心で思いながらも、知らんぷり。

ドッシィィィン!

えっ?

ビクッとなった私は、今二階で誰か床に飛び降りて着地したような音だった。

台風の中、転がるように事務所を飛び出したら、隣の奥さんが丁度洗濯物を取り入れていて「どうしたの?」と聞く。

今あった出来事を話、一緒に二階を見てくれることになる。

ミシッミシッっと薄暗い階段を登り、二階の階室を覗くと何もない。

一度押し入れを見てみようと言うことになって、一気にその引き戸を開けた。

天井の板がずれている

ここを借りる時の引き渡し時には、確かに押し入れの中の天井は開いてなかったことを確認している。

一瞬、呪怨を思い出してしまった。

それ以来二階は開かずの間としてしまい、パートさんも私も何度かパタパタパタパタという足音がしても気付かないふりして仕事をしていた。

「自殺したご主人の部屋ね、丁度この上の部屋を使ってたんだよ。この場所からは絶対離れたくないって言っとったわね。」といつものように近所のおばさんは井戸端会議でもするかのように話して来る。

更に「でもね、その前に住んでいた人も娘さんが自殺して死んだんだわ。」

一年後に事務所を移り、今の会社は店舗を改装して2階を事務所として、一階部分は介護施設として運用している。

しかし…

今の事務所の二階の部分は職員用のロッカーを設置し、仕切りを造っている。

その場所の一角が、異様な感じがする。

夜遅く残業をしていた時、

トットットットッ

と階段を上がって来る音がする。

全身硬直してしまい、心臓が高鳴るのが分かるくらいだ。

事務所の扉が開くのかと思えば、その足音はロッカーの方へと続いている。

もし不審者だったら

そう思うと余計にそのままにしておく訳には行かない。

事務所からゆっくりと出てロッカーへ向かう途中の広々としたホールに目をやると、一角に設置してあるテレビのブラウン管が青白く光っている。

何?

恐る恐る近づいて目を近づけると、ブラウン管の中から両眼だけが浮かび上がりギョロギョロと辺りを見回す眼がそこにあった。

うっぎゃゃゃゃゃゃーーー

何度も変な大声を張り裂け、一目散に事務所から荷物を取ってその場を逃げ出した。

後で思えば、あのテレビ、そういえば前の事務所で以前住んでいた住人から譲り受けたものだった。

極力夜は残業しないようにしているが、夕方遅く残っていると、何処からともなく色んな場所から音がするようになった。

誰か憑いて来たんだろうか?

怖い話投稿:ホラーテラー やみかさん  

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