友人Rは、ほとんどと言って良いほど眼鏡を外さない。
理由は、かけていないと見えるから。だそうだ。
見える、とは幽霊の事。
小さな頃は見えるのが当たり前だと思っていたが、初めて眼鏡をかけた時に見えなくなる事に気づいたそうだ。
外すと、見える。
かけると、見えなくなる。
「何か可笑しいよね」
とRは笑った。
「お風呂とかはさすがにかけれないから、ちょっと怖い」
Rは眉をハの字にすると、赤いフレームの眼鏡をそっと外し、私のすぐ後ろを見つめてため息混じりに呟いた。
「ほらね、やっぱり見える。」
怖い話投稿:ホラーテラー 杏さん
作者怖話