【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

『花子さん』

花子さんはイタズラが大好きです。

今日も花子さんは、トイレに肝試しにやってくる子供達を脅かそうと、トイレで待ち構えていました。

バタン!

トイレの入り口のドアを開け放つ音。

…ギギッ

…キュッ

…ギギッ

ギィー、バタン

いつもの上履きやスリッパとは違う足音がします。

…ギギッ

…ギギッ

ギィー、バタン

一つ一つのドアを開けながら、何者かが徐々に花子さんの個室に近づいてきました。

花子さんは身構えながら、息を殺して待ちます。

そして…

…ギギッ

…キュッ

ギィー

遂にドアが開け放たれました。

『えっ!?』

飛びかかろうとした花子さんが目にしたものは、初めて見る光景……。

車イスに乗った少年は、花子さんを見つけるなり、

「みーつけた!」

とてもうれしそうに笑うのでした。

いつもの子供達なら、みんなビックリして逃げるはずです。

『…わたし、怖くないの?』

「うん。花子さんを見つけたら、みんなが友達になってくれるって約束してくれたんだ。だから。」

『友達?』

「そう、クラスメイト。僕ね、階段から転げ落ちちゃって足が不自由になってね、でも強いところ見せたくてみんなと約束したんだよ。」

『…そう。』

「でも、ありがと!これでみんなが友達になってくれる。ママが心配してるから、帰るね!」

『…うん。じゃあね…。』

少年は振り返り、言いました。

「花子さん、友達になってもいいよ!」

『…わたしは…いらない。』

「そっかぁ、残念。」

少年は首をかしげると、器用に車イスを操作しながら去っていきました。

花子さんは、気付いたのです。

最近、トイレで子供達が噂をしていた少年が彼であることを。

階段にワックスを塗り、いじめられっこの少年を階段から滑り落としたこと。

先生達は、本人の不注意ということで事故として揉み消したこと。

人間の友達なんか、イラナイ……

人間なんか……

数日後…

放課後のトイレから

話し声が聞こえます。

「ねぇ、ねぇ聞いたぁ?あの子、突然歩けるようになったんだって!」

「え〜!?じゃ〜また、いじめなきゃ、だね(笑)」

会話に夢中の少女達は気付いていませんでした。

後ろのトイレの個室のドアがそっと開いたことに…。

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ