これは今から25年ほど前、友人のSさんが通っていた小学校で体験した話。
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当時は学校の怪談がブームで、ほとんどの学校で七不思議やコックリさんが流行っていた時で、Sさんが通っていた学校も七不思議で持ちきりだった。
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例えば、放課後トイレに行くと知らない女の子が立っているとか、
教室に一人でいると黒板から手が出てくるだとか、
どこの学校にもありそうな噂が広まっていた。
でも、七不思議の7つ目を知ると不幸になると言われていたので、あまり関わりたく無かった。
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ただ、Sさんは一つだけ気になっていた話があった。それは、こんな内容だった。
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「放課後に非常階段に出て校庭を見ると、誰かがこちらに手を振っている。
こちらから手を振り返すと、向こうが今度はおいでおいでをする。そして下に降りてみるが、そこには誰もいない。」
というもの。
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最初は誰かの悪戯かと思っていたが、
それを試した生徒達が続々と怪我をしたり、体調不良になったりと、よくない事が起き続けていたため、
生徒達は「この噂が七不思議の7つ目ではないか」など囁いていた。
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Sさんは噂を確かめたいと思い、友人のAさんと一緒に放課後まで残っていた。
少し風の強い4時半頃、空が薄暗くなってきたので、非常階段に向かった。
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階段に続くドアを開けて校庭を見てみた。
しかしそこには誰もおらず、学校のチャイムだけが鳴り響いていた。
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「なーんだ、誰も手なんて振ってないじゃん。」
Sさんはそう言い、ガッカリしながらも、Aさんと帰ることにした。
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階段を降り、靴を履いて玄関のドアを開けると、
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shake
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一瞬で空気が変わった気がした。
しかも空の色が先程と違い、不気味な色になっている。
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「何これ!?どういう事!?」
とSさんがAさんに問いかけたが、返事がない。
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Aさんが居なくなっていた。
というか、今まで聞こえていた車の音や、吹いていた風の音まで全てが聞こえなくなっていた。
その瞬間、ひとりぼっちになった様な物凄い寂しさを感じたという。
Sさんは必死で「Aちゃーん!Aちゃーん!」と叫んだ。
その時、視界に何かが入ってきた。
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サッカーゴールの側に誰かが立っている。
それは、とても背が高く、体の細さが鉛筆の様に細くて、
腕が異様に長い化け物だった。
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しかもそれがだんだんこっちに近づいてくる。
Sさんは半狂乱になり、「ごめんなさーい!」と泣きながら叫んだ。
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するとさっきまで聞こえなかった車の音がして、風も吹いていた。
隣にはAさんがいた。
「どうしたの?いきなりうつむいちゃって。」
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Aさんが言うには、玄関を出た瞬間いきなりSさんが頭を抱えて、5秒ほどうずくまっていたため、Sさんが肩を叩き、どうしたの?
と聞いたと言う。
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Aさんに全てを話したが、5秒の間にそんな事あるわけないと言われ、Sさんもこのままじゃただのおかしい子と思われるからその日は渋々帰った。
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その日以来、Sさんは必ず暗くなる前に帰る様になった。
作者すぁんきー