僕がまだ父親と寝ている頃だった。悪夢を見た。
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僕は山中の岩の上にいた。ここはどこなんだろう?
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「ザーーー!」
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轟音が響いている。
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目の前には川が流れている。「ザーーー!」という音の正体は川を流れる水の音だと分かった。
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僕は自分がなぜここにいるのかがわからなかった。
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嫌な雰囲気が漂っている。僕はその場所が「怖い」と感じた。
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何が起こっているのかが理解できず、しばらく岩の上でボーッとしていると、川の向こう岸の茂みから白装束をきた髪の長い女が姿を現した。女はこちらに向かって来た。川をそのまま横切って…
僕はこの時、初めてこれが夢だと気付いた。そして、頑張って夢から覚めようと、寝ているまぶたをイメージして「覚めろ」と念じ続けた。そうしている間にも、女は近づいて来ている。
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「覚めろ」
「覚めろ」
「覚めろ」
「覚めろ」
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僕はそれでも念じ続けた。
…
…
…
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次の瞬間、寝ているベッドの布が見えた。僕は悪夢から覚めたことに心から安堵した。が、まだ夢の映像が続いている。僕は片目しか覚めていないことに気付き、もう片方の目を開こうとした。
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開かない……
当時、横向きに寝ていたため、下になっている方の目が自分の体重で開かなかった。
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女は先ほどより更に近づいて来ている。
僕は恐怖を感じ、半分現実、半分悪夢の視界のままベッドの上でもがきまくった。それでももう片方の目は開かなかった。そもそも片目が下になったまま必死にもがいていたので状況が変わるはずはなかった。
しかし、当時はそんなことを考えている余裕なんぞこれっぽっちもなかった。
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次第に夢の背景は消え、現実世界と女だけが見えるようになった。これでは、まるで女が夢から現実に出てきたみたいだ。
僕はさっきよりも激しくもがいた。
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「ドサ」
全身に激しい痛みと衝撃が走る。
あまりにも激しくもがいていたせいでベッドから落ちてしまったようだ。それと同時に女も消え、閉じていた片目も開いた。
助かったのだ。
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僕は今度こそ心から安堵した。
あの女はなんだったのだろうか?起きた後に床見ると水溜りできてたし...
当時は「霊は水辺に集まりやすい」ということをまだ知らなかった。
まぁ、夢から完全に覚めることができて良かった。
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END
作者ミライ
「これは作り話です」って言いたいけど、今回は実話です。そのままの体験を書きました。盛ってません。