初めに…
いつも読んでくれる皆さま方、そして、評価を付けて下さる皆さま方、ありがとうございます。今回は一部で完結です。
今までみたいに煩わしい『続)…』はありません。
では、今回も宜しくお願いします。
…急に音信不通になった彼を心配した友人が彼の部屋を訪ねた。だが、そこに彼の姿は無く、部屋には液晶画面が内側から割られた彼の携帯電話だけが残されていた……
〓〓〓近付く気配…〓〓〓
久しぶりの合コンだった為だろうか?それとも単純に私に魅力が無いだけなのだろうか。
誰とも連絡先を交換することもないまま、時間だけが過ぎ、気付けば夜中の2時。
友人2人と別れ、1人家路を急ぐ。
近道をしようと街角の小路へ入る私。
そこは、車一台通るのがやっとの道幅で、両脇には背の高い壁が並ぶ。街灯も消えかけ、不気味に静まり返ったその道に、
…うずくまる1人の子供。
正直、怖い。
だから無視してやり過ごそうとした。私が子供の後ろを通り過ぎようとした時…
子供 「…待ってよ。お兄さん。」
私の足が一瞬止まる。
子供 「…聴こえてるんでしょ?ってことは、僕の事も見えてるよね?」
私の背筋に冷たいものが走る。私は、あえて言葉を返さず、再び足を踏み出す。
子供 「見えてんだろっ!!?」
私 「……ひっ。」
私を怒鳴ったその声は、子供のそれではなかった。そして、声にならない声でそれに反応してしまった私の後ろで、子供が立ち上がる気配がする。
…私は、恐る恐る子供の方へ振り返る。
そして、言葉を失う私…
私 「…………!?」
その子供は、膝から下が無かった…
私の目と子供の青白い目が合った時、
……カシャ、カシャ、カシャ……
突然、私の携帯のカメラのシャッターが勝手に切られた。そして、その音を聞いて口元に笑みを浮かべる子供…
私は、恐怖と混乱で、何が起こっているのかまだ理解できずにいた。
そんな私に、子供は言った…
子供 「…お前、もう終わりだな…」 と。
余りの恐怖で助けを呼ぶ声も出せず、私は走ってその場から逃げた。
…家に着いた私は、携帯を開きさっきの写真を消そうと試みる。真っ暗な写真が3枚。2枚は消すことが出来た。
しかし、残りの1枚がどうやっても消えない。
…翌日。
結局、昨日は一睡も出来ず、部屋中の明かりを点けたまま、朝まで起きていた。
昨日は混乱していて操作を誤っていたに違いないと、自分に言い聞かせ、私はもう一度、あの写真を消そうと試みた。
『……?』
ふと私は写真が昨日とはどこか違っていることに気付く。真っ暗な背景のちょうど真ん中ぐらい、白い点が写っている。
その白い点をよくよく見てみると…
『人間の手だ!』
そんなものが写るはずがなかった。昨日のあの瞬間、私の携帯はポケットの中に入っていたのだから…
私は携帯の電源を切り、すぐに家を飛び出して近くの携帯ショップへ向かった。
新しい携帯に交換し、データも電話帳以外は全て消去した。
さすがに、今度はあの気味の悪い写真は無くなっていた。
私はやっと落ち着きを取り戻し、家に帰った。
『メールが届いています』
携帯が新着メールが来ていることを私に告げる。
メールの差出人は不明、アドレス欄にはただ数字で814とだけ表示されている。
そして、何か写真が一緒に添付されている。
…………私は、今やっと手に入れた普通の日常から、また昨日の恐怖の夜へと引き戻された。
メールに添付されていた写真が勝手に開き、何もしていないのにその写真は勝手に私の新しい携帯に保存された。
手が少し大きく写っていた。まるで、遠い場所から何かを掴みとるかの様に、その手は写真を見ている私の方へ近付いて来ている。
…一週間後。
仕事の都合で携帯が手放せない事が今は苦痛でしかたない。あの写真の中の手は、日、一日と写真の外へ、画面を見る私の方へ近付いて来ている。
…二週間後
携帯が怖くて開けない。 あの写真の中の手は、今にも携帯の画面を突き破りそうな勢いで、画面の外へ向かって押し当てられている。友人にこの事を話したらすぐに電話を切られてしまった。一体何なのだろう?
……8月14日新聞記事から
都内在住の男性が行方不明。不明男性と連絡が着かなくなった事を心配した友人が男性宅を訪ねて発覚。不明男性は会社を3週間前に突然退社、それから連絡が着かなくなったという。不明男性宅には、この男性の物と思われる壊れた携帯電話が残されていた以外、争った形跡も、物を物色した跡も無く、男性の預金通帳や財布も部屋に残されていた。
警察は事件性は低いとしながらも、不明男性の交遊関係等を調査していく模様。
また、最後にこの男性と電話で話をした男性の友人は、電話越しに大勢の子供達の声を聞いていたらしいが、これといって有力な情報には結び付いてはいない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話