短編2
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だって、私には…

少し前の話ですが、

高校である噂が流れたことがありました。

『三階の、水飲み場前のトイレ(女子トイレ)で、手前から三番目の個室から四番目の個室に通り過ぎようとするとき必ず転ぶ。』

上の文章では、多分意味がよく分からないと思いますが

要するにこうゆうことです。

三階の水飲み場前のトイレは、皆さんご存じの通りごく普通のトイレです。

(ちなみに、なぜか三階だけにトイレは二つあり、

水飲み場前のトイレはあまり使われません。)

入ってすぐに鏡があり、和式や洋式のトイレが10個ほど並んでいます。

ごく一般のトイレと思ってください。

噂によると、

手前から三番目の個室から四番目の個室(個室の中でなく、みんなが通れる外側です)を通りすぎるとき必ず転んでしまうとか。

その噂を聞いたのは高1のときで、四階のトイレだったし

とくに気にしませんでした。

そして一年たち、高2になるとそんな噂も忘れていました。

そのとき、私達の階は三階でした。

高2になってからしばらくたち、

ある日、仲の良かったAちゃんがトイレから教室に戻ってきて

「保健室に行ってくる」

と言いました。

「どうしたの?」

と聞くと、どうやらかなり派手に転んだらしいのです。

膝には擦りむいて血がかなり出ていました。

私はそのとき、

トイレに行くまでの廊下で滑ったのだろうか

と考えていました。

しばらくしてAちゃんが戻ってきたので、

どこで転んだのか聞くと、

「トイレ」というのです。

「え?トイレ?なんでトイレなんかで転ぶのよ(笑)」

私は聞きました。

すると彼女は、

「まさか転ぶなんて思わなかったの。でも噂の通りだったね。すっかり忘れてた。あれは本当だよ。」

と言いました。

そこで私はようやく思い出したのです、例の噂を。

Aちゃんは、普段使うトイレがあまりにもこんでいたので

誰もいない噂のトイレに行ったらしいです。

よく考えるとあのトイレはなぜか、謙遜されていました。

私はそのトイレに行ってみることにしたのです。

しばらくして、あのトイレから戻ってきた私にAちゃんがいいました。

「ね、転んだ?つまずいたでしょ?」

「つまずいてないよ。」

私はつまずきませんでした。

つまずくハズがないのです。

なぜなら私には

見えるのですから。

三番目と四番目の個室の前の間でうずくまっている女の人の霊が。

うずくまっているというか、正座をして上半身を前に倒したような形でした。

皆がつまずいていたのは彼女だったのでしょう。

しかしそれは誰にも言っていません。

他にも見た人がいるのでしょうが、

言えないでしょうね。

なぜなら彼女が言ってきたからです

「誰にも言うんじゃないぞ」と。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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