短編2
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母と散歩

うちの亡くなった母は霊感があったらしい。

「らしい」と言うのは、私は見えないから母の能力が本物だと断言は出来ないからです。

そんな母との思い出話を…今回、霊は出ません。

蒸し暑い夏の夜。

お風呂に入って後は寝るだけなんだけど、クーラーのない我が家は暑い!

私が「外の方が涼しいんとちゃうの?」と言うと母が「ほうやな(笑)ちょっと散歩でも行くか?」と言い、散歩に出掛けた。

ウチは田舎で、自宅から畑に囲まれた100メートル位の直線の細い道があり、突き当たりは川。

川沿いに道があり、川向こうに鮎の養殖場があって、街頭はないけど夜でも明るいです。

川沿いの道を世間話をしながらブラブラ歩き、橋まで来てUターン。

家へと続く細い道まで帰って来た時、後ろをチラチラ見ながら母が「先に帰っとり」と言いました。

「は?なんで?一緒に帰ろうよ」

意味がわからず『?』な私。

母は眉間にシワを寄せ、後ろを見ながら「帰るけど………ちょっと待って」と言うと、突然バッと振り返り、両手を前に突き出してパパパッと指を動かした。

母「よし!帰ろか」

ポカーン。

私「……なっ…何?今の?」

母「あ~…帰ったら話すわ。ほら、行くよ!」

で、無事に帰宅。

さっきのは何かと聞いたら「変なんがついて来よったけん、ついて来んよ~にした」って。

散歩中、後ろから幽霊さんがついて来てたらしい。

私と話しながらずっと「ついて来るな!」と言ってた(声には出さずに念じてた)らしいが、家の近くまで来て離れないので追っ払ったそうです。

すぐ話さなかったのは、私が怖がるといけないから。(怖い話好きなのにビビりです)

ママン…。霊がずっと後ろにいたのも怖いけど、突然、印を結び出したのも怖かったよ。

母が除霊っぽい事してる姿を見たのは、その一度きりでした。つーか、母…除霊も出来たんだ…。

怖い話投稿:ホラーテラー 鳴門金時さん  

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