ガキのころ、俺は近所の駄菓子屋で万引きを繰り返していた。
駄菓子屋は建物も古く監視カメラなんてものもない。
店員も婆さん一人だし、客のことをいちいち見張ってたりはしない。
昔ながらの駄菓子屋というのはそういうものだ。
そもそもこんな婆さんじゃ気付きもしないだろうが。
あれから30年、久しぶりに帰郷したらその駄菓子屋がまだあった。
「へぇー、懐かしいな。まだ潰れないでやってんだ。いまどき駄菓子屋に来る子供なんてそんなにいないだろうに」
俺がガキの時分でさえ結構なおばあだったが、子供が跡を継いだのだろうか。商売になどならんだろうに。
懐かしさで入ってみると、店番はあの婆さんだ。
「ほぉー、まだ生きてんだ(笑)。しかし大丈夫なのか?」
婆さんは置物のように微動だにしない。
一通り眺めると懐かしいものがたくさんある。
俺は「うま○棒」数本他、10点くらい買った。
これだけ買っても小学生のこずかいで充分お釣りがくる。
「28万円です」
冗談を言ってるようには見えない。
「は?婆さんボケちゃってんの?しっかりしてくれよ。他に人いないの?」
「お前がいままで取ったものの代金だよ。」
これは以前にジャンプか何かで読んだ話。
ちなみに怪奇漫画とかではなく、1話の中の1シーンを怪談風に適当アレンジしたものです。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話