これは仕事場の同僚Nさんから聞いた話。
平日の午後、Nさんが電車の席に座っていると
赤ちゃんを抱き小さい男の子を連れた女が電車に乗り込んできた。
女は腕の中でユラユラと赤ちゃんを揺らしている。
赤ちゃんはピクリともせずグッタリとして眠ったままだ。
赤ちゃんの顔は青白く、まるで生気を感じさせない程だったという。
女が電車に乗ってから少し経った頃だった。
女が連れていた小さな男の子が、無造作に赤ちゃんの手を取り出すと
ガブリと口の中に入れたのだ。
そして味わうようにガリガリと口の中で噛みはじめた。
ポタリポタリと血が座席に滴り落ちる。その間も赤ちゃんは少しも反応を見せなかった。
女がふとNさんの視線に気付いたのか、男の子を引き離すと、言い聞かせた。
「おうちに帰るまでの我慢よ!」
タオルで赤ちゃんの傷口を隠すと、次の駅で女は電車を降りていった。
駅までの間、女はNさんをずっと睨みつけていた。
降りる瞬間、Nさんを恐ろしい形相で睨みつけ
「しゃべったら殺すぞ」
と言い捨てていったという。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話